百貨店の化粧品強化が続いている。伊勢丹新宿本店は売り場を2層化、面積を1.5倍に広げて11月に改装オープンする。JR名古屋高島屋も多層化を進める計画で来春には2倍に広がるという。あべのハルカス近鉄本店、天満屋岡山本店なども今秋、化粧品を拡大する。
日本百貨店協会によれば、化粧品売上高は7月で52カ月連続増収。前年同月比0.5%増と伸び率の鈍化は気になるが、売上高構成比は8.9%で、婦人服・洋品(17.5%)、その他食品(11.1%)に次ぐ規模になった。売り場の拡大で、化粧品の売上高構成比はさらに高まるのだろう。
百貨店に聞いた本紙調査「購買動向・営業政策」アンケートでも、化粧品を含めた「服飾雑貨」の強化が最も多かった。次に多いのが「食関連」。客層の広がりや来店頻度の向上が期待できるためで、メーカーと協業した独自商品の開発や新規ブランド導入に動いている。リターンが見込める投資分野との見方だ。
イベントの新規企画も増えてきた。強化中の化粧品、食料品、イベントに共通するのは、新規取引先の開拓に積極的なこと。一方で、前向きな動きが見られないのが衣料品。新しいプレーヤーの開拓や既存取引先との新たな取り組みなくしては衣料品の活性化はない。売り場縮小だけでなく、先行投資が進むことを期待したい。