《めてみみ》迎える令和

2019/05/01 06:20 更新


 元号が「令和」に改まった。振り返ると、戦後の「昭和」時代は好不況の波はありつつも、日本経済は成長軌道を描き続けた。この間、深刻な公害問題やオイルショックを厳しい環境対策や省エネで切り抜けた。ここで生み出した技術と思考は今も日本経済の強みになっている。

 続く「平成」はバブル経済絶頂期から始まったが、その崩壊とともにデフレ、ダウンサイジング、低成長の時代となった。昭和の成長期に描いたビジネスモデルは崩れ去った。コンビニの24時間営業見直しはその典型例だろう。

 迎える令和。環境や人権、サステイナビリティー(持続可能性)などが地球的規模でキーワードだ。日本でも「働き方改革」があちこちで叫ばれる。

 奇しくも改元の日となった5月1日は、労働者の祭典「メーデー」。1886年米国で8時間労働制を求める労働者がストライキをしたのが起源。日本では99年前の大正9年(20年)に第1回メーデーが行われた。

 今年はILO(国際労働機関)結成100周年でもある。メーデーで掲げられた「8時間は労働、8時間は休息、8時間は自分たちの自由な時間のために」という主張は、残念ながら日本では100年を経てもまだ手が届いていない。令和が働く人々の願いがかなう時代になることは、ファッションビジネスの発展にもつながる。



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