“ピンなし”スパイク「メタスプリント」が世界で注目

2020/05/18 11:00 更新


 世界最大の複合材料展示会JECワールド2020が主催する「JECコンポジット・イノベーション・アワード」のスポーツ&ヘルスケア部門の最優秀賞を、日本の商品が初受賞した。スパイクピンがない陸上スプリントシューズ「メタスプリント」だ。アシックスとサンコロナ小田、金沢工業大学革新複合材料研究開発センター、ナガセケムテックスが共同開発した。

 メタスプリントは、地面にピンが刺さって抜けるまでの時間を短縮し、ピンが抜ける時のエネルギーロスを低減、効率的に力を伝達できる。従来のピンに代わる複雑な立体構造の靴底を実現した技術が評価された。

 素材はインテリア主力の繊維メーカー、サンコロナ小田の熱可塑(かそ)性炭素繊維複合材料「フレックスカーボン」。強みの分繊技術をベースに炭素繊維を薄く広げ、樹脂を隙間なく均一に含侵させるなどして作ったシートだ。軽くて強く、微細な形状もプレス加工で量産できる。成形時に生じる端材の再利用も可能で、廃棄物が削減できる点も注目された。

 JECワールドは70年から毎年開催。3月にパリで予定していた今回展は来年に延期されたが、アワードの授賞式はオンラインで行った。航空宇宙、自動車など11部門で、革新的な技術や商品を表彰している。

プレートに軽くて強い炭素繊維を採用
複雑な形状のハニカム構造をプレス加工で大量生産できる


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