素材メーカー、商社の24年3月期決算が出揃った。コロナの沈静化で回復が期待されたが、欧州や中国景気の停滞で足踏みし、衣料品は暖冬の影響も受けた。一方、産業資材は自動車向けの回復があり、コスト上昇に対する値上げや高付加価値化も一定進展した。業種別に決算を読み解き、今後を見通す。
円安が押し上げ
合繊メーカーは、全社連結ベースで増収増益基調となった。期中の平均為替レートは1ドル=144円で前期比9円安、外貨建て決済や海外子会社の業績が上振れした。
各社、為替に左右されにくい事業構造を築いているが、円安は増益方向に寄与する。旭化成は素材関連のマテリアルの営業利益426億円のうち、為替要因で151億円がプラスに効いた。東レは全社事業利益が66億円増えたうち、22億円が海外子会社の円換算効果だった。