Webの集客って具体的にどうしたらいいの?③
前回は集客施策として、ブランドのソーシャル運用の初級編について解説しました。
*ふかじ先生の過去ブログはこちら
今回はその応用編となる「インフルエンサー」を活用したソーシャルの運用方法について簡単に触れてみたいと思います。昨今、集客に活用されているこのインフルエンサーが何故必要になったのか?また実際の活用されている事例を一部ご紹介したいと思います。
■インフルエンサーって何?
インフルエンサーとは直訳すると「影響者」で、ソーシャルメディア上で影響力の強いユーザーを指してそう言います。InstagramやTwitter上でフォロワーの多いユーザーを見た事は無いでしょうか?そういうユーザーを総称して「インフルエンサー」と呼んだりしています。
過去、情報発信はテレビや新聞などのマスメディアの特権でしたが、ソーシャルメディアの台頭により、一般の方々でも発信する事ができるようになりました。一般の中にも発信のクオリティが高い方は数々いらっしゃいますので、そういった方の周りには当然人が集まります。
その結果、フォロワーが増え、影響力がつくようになったという経緯でしょう。既存メディアに露出している方は発信しなくても勝手にフォロワーが増えるのは言うまでもありませんが。
■何故インフルエンサー活用が必要なのか?
先述した通り、発信者が増える事により、情報の受け手が細分化されるようになりました。服に興味がある人、漫画やアニメに興味がある人、音楽に興味がある人…。それぞれ興味の対象によって、情報収集する対象も変わります。そうやってジャンルごとにユーザーが細かくセグメントされると、マスメディアで一気にリーチ…、という訳にもいきません。もちろん、現在でもマスメディアに力はあります。
しかし、過去のように特定のファッションアイコンとされる有名人にブランドのアイテムを着せるとすぐ商品が完売する…なんていう事は起こりにくくなっているのです。ソーシャルでセグメントが細かくなった事が、結果的にマスメディアの力を低下させる事になったのです。
そういった細かいセグメントにリーチする為に必要なのが、このインフルエンサーの活用です。特定のジャンルに強いインフルエンサーを活用すれば、自分たちの狙ったターゲットにリーチできる可能性がぐっと上がる。また価格もマスメディアに投資するよりはるかに安い金額で請け負ってもらえますので、費用対効果が高い(ケースバイケースですが)。
上記の理由でインフルエンサー活用がブランドごとで盛り上がっているのではないでしょうか。
■具体的にどうやって活用するの?
では具体的にどうやって活用するか?なんですが、まず重要な点が「キャスティング」になります。
各ブランドには当然ながらブランディングプランがありますから、そのブランディングを無視したインフルエンサーの活用は絶対NGです。インフルエンサー側もセルフブランディングしているので、自身が気に入らないものを容易く勧めてくれる訳ではありません。双方の思惑が合致した時に初めてインフルエンサー活用が実現します。
インフルエンサーを活用する際に、間を取り持ってくれる「キャスティング会社」は業界に複数存在します。しかし、このキャスティング会社が双方のブランディングを理解し、それに沿って勧めてくれるかと言ったら全くそんな事もありません。そもそもブランドのコセンプトや世界観を、外部の業者が理解してくれているなんていう期待は持たない方がいいでしょう。だからこそ、細かい要望はこちらから最初に絶対伝えておかなければなりません。
フォロワーは何人くらい。エンゲージメント率は何%は無いと困る。想定リーチは何人。ターゲットのペルソナはどういった方。過去、どんなブランドでお仕事依頼があって、どのくらいの実績があるのか。そこからキャスティングしてもらい、そのインフルエンサーのプロフィールや過去の投稿を確認。ここまでやっても成功するかどうかわかりません。
ただ、全てソーシャル上で実施するものに関してはソーシャルのインサイトやGoogleアナリティクスからサイトへどれくらい流入したのか。またそこからどれくらいコンバージョンしたかは数値として出ますので、PDCAを回しやすい。
■具体的な事例
ファッション業界でもこのインフルエンサー活用の事例は多々見受けられます。キャンペーン的にやるものもあれば、日々のInstagram投稿でキャスティングしたり。大手だと下記なんかはわかりやすい事例ですね。
・GU キュレータズルーム
声をかけたら応えてくれる「ジーユー キュレーターズ ルーム」の豪華な住人たち
こちらはGUのアプリ内でインフルエンサー(というより芸能人)の部屋がいくつかあって、そこに行くとインフルエンサーが商品をお勧めしてくれます。日時を指定してライブ配信したりと、ライブコマースとインフルエンサー活用ではかなり早い取り組みだったのではないでしょうか。
インフルエンサーの固定ファンをアプリに送客したり、GUの製品をインフルエンサーが勧める事で付加価値を上げたり…、という効果を目論んでいたと思います。最近ではSHOWROOMやLive shop!などのライブ配信プラットフォームを活用するケースが増えてきてるのではないでしょうか(ていうほど盛り上がっていませんが…)。
直近で多いのが上記のようにインフルエンサーをライブコマースで活用するケースでしたが、リピートされている事例があまりありませんので効果が薄かったのでは?とも推測しています。
ライブコマースはどちらかというと多くのファンにリーチするというより、ファンを濃くする為に使うと言われていますので、急に使ったところで意味が無いのかもしれませんね。既にファンを濃くする事に成功しているインフルエンサーなら効果的かもしれませんが。よく聞く成功事例はゆうこすくらい…かな。。
■インフルエンサー活用における注意点
上記からもわかるように、インフルエンサー活用は担当者や決済者がちゃんとブランドを理解した上で、そのブランディングプランに合ったインフルエンサーを活用する必要があります。適当にキャスティング会社に依頼して、リーチだけ伸びてブランド価値も売上も上がらないのが一番最悪のシナリオです。そういった事態を回避する為にも、まず計画段階からしっかりと見極めなければなりません。
また、悪質なケースではフォロワーを買っているインフルエンサーもいたり(もはやインフルエンサーでもありませんが)。そういった人材を起用しない為にも担当者のリテラシーが求められます。インプットもしないで急に活用するのは避けた方が身の為でしょう。
インフルエンサーにも段階がありまして、数十万から数百万フォロワーを有するトップインフルエンサーから数万以上のミドルインフルエンサー、それ以下のマイクロインフルエンサーなどなど。
ブランドのフェーズやその時に実現したい事によって使い方はまちまち。複数のマイクロインフルエンサーを活用して流行の空気感を作ったりするケースもありますし、インフルエンサーが自ら使ってくれる事を期待してギフティングするブランドも中にはあります。ダニエルウェリントンなんかはその好例ですね。
インフルエンサー活用は賛否両論あり、ステマ的に見えたり節操ない投稿が増えたりでげんなりしている業界人も少なからずいます。僕自身はこの件に関してはブランドによって活用してもいいとは思っていますが、クオリティの高いコンテンツであれば拡散される可能性が高いので、予算が無いのにやるべきではないという考えではあります。
あくまで予算が無いブランドは自前で手間暇かけてコンテンツを掘り起こし、自分たちで拡散していかないといつまでたっても自社にノウハウは溜まっていかないかと思います。
ファッション業界でよくあるのは、他社がやった成功事例に乗っかって、よく考えずに実行してしまうケースです。どんな成功事例でもそうですが、自社ブランドのブランディングプランや目的も無しに乗っかったとしてもうまくいく事などないでしょう。ライブコマースもインフルエンサー活用も、結局はやり方次第なので、自社のブランドの目指す方向性と、自社の顧客が誰なのかを忘れずに計画したいものです。
ここまでで、自前でできる簡単な集客方法をお伝えしていきました。次回からは、売上をどう最大化していくか?についてお話していきますので、しっかりと復習しておいてください。
ふかじ・まさや スタイルピックス代表。ラグジュアリーブランドのリテール管理と全国セレクトショップへのホールセール担当を経て、起業。高級衣料品、ミセス、ヤングカジュアル、などの経験を基に、ファッションに特化したECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を展開。スタートアップブランドの支援を中心に活動。その傍ら、服飾専門学校の講師も務める。深地さんのツイッターとフェイスブック