手の届く良い服が服好きの心をつかむ

2015/06/02 06:10 更新


 スタイリストやバイヤーを長年務めてきた服のエキスパートによるレディスブランドが、セレクトショップや百貨店で存在感を高めている。スタイリストの中山まりこがクリエーティブディレクターを務める「マディソンブルー」、大手セレクトショップの元ウィメンズバイヤー榎本実穂が手掛ける「エリン」、人気古着店ジャンティークの元バイヤー内田文郁がデザインする「フミカ・ウチダ」。これらのブランドが、インポートブランドに慣れ親しんできた大人の女性の心をつかんでいる。(青木規子)

 これらのブランドはここ 1、2年で立て続けにデビューした。それぞれスタイリストやバイヤーとして働くなかで、「手の届く良い服が欲しい」という思いからブランドを立ち上げた。ファッション業界で長年働いてきたため交友関係が広く、デビューコレクションの展示会には有力セレクトショップの主要バイヤーが駆けつけた。話題性に加え評価も高く、セレクトショップの内覧会ではファーストシーズンからおすすめの新ブランドとして目立つ存在となり、知名度は急上昇。雑誌や売り場を通じてファンを獲得すると同時に、大手から地方店まで幅広く卸先を増やしている。

女っぽさをさらりと引き出す

 彼女たちが作る服は、服作りの道を究めたクリエーターによるコレクションとは別物だ。デザイナーのオリジナリティーを前面に出した服ではなく、着る人のスタイルやムードを引き立てることに重きが置かれている。方向性はそれぞれ違うが、いずれもスタンダードなアイテムを軸にしながら、大人の女性のかっこよさや女っぽさを引き出すデザインをさりげなく取り入れている。

 例えば、マディソンブルーはジャケットの袖口からちらりとのぞく手元が女性らしく見えるように、袖を少し長めにして袖口を斜めにカットしている。フミカ・ウチダのマスキュリンなロングコートは、後ろ姿に女性らしさを感じてもらうためにウエストポイントを少し高くしている。エリンではこなれた雰囲気を出すためにロングコートの襟を抜いて着ることを提案している。バランスをさりげなく変化させて、大人の女性がかっこよく見えるラインを探りながら作っている。

フミカ・ウチダ
フミカ・ウチダ
エリン
エリン

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