革製品のアフターケアを学ぼう

2015/06/15 13:24 更新


《店長に役立つページ》接客に役立つ商品知識Q&A特別編 

 繊研新聞社が店長の方々へのアンケートを昨年実施した際、商品のアフターケアについての質問が多く寄せられました。そこで今回は、衣類と革製品のアフターケアについて、専門家にお答えいただきました。店頭でお客様に聞かれたときどう答えればいいか、そのヒントとして活用してみてください。

革問屋の川善商店 代表取締役

川北芳弘さんに聞きました

川善商店 川北さん小

 

 

●ポイントはここ!

  1. 革はとてもデリケートな素材
  2. 水分や液体をなるべく近づけないことが大切
  3. 服やバッグのケアと、靴のケアは別に考える
  4. 無理なケアはせず、クリーニング店を活用

靴磨き

 「革はとてもデリケートな素材であり、とにかく水分や液体を嫌います。また、加工方法など革の種類によってもケア方法が異なり、複雑です。

 今回は店頭で必要な情報に絞って説明します」と川北さん。製造元・販売元から手入れの指示がある場合はそれに従うこと。から拭きやブラッシングなど家庭でできるケアもあるが、汚れが落ちにくいものや高級品は無理せず革製品専門のクリーニング店を利用する。

 「中途半端な説明はかえって混乱のもと。プロにお手入れを任せることをはっきりおすすめする方が、お客様も安心して購入できるのではと思います」

 

バッグ

①服やバッグのホームケア

●から拭き

 一番ベーシックな方法。ソフトな綿の布地(ネル生地やメンズ肌着のようなもの)で拭く。ごしごしこするのはNG。ハンドクリーム、化粧品、整髪料などは変色の原因となるため、こまめにふき取る。

●水拭き

 水かぬるめのお湯に濡らした布を、革に水分が残らないくらいできるだけかたく絞り、優しく拭き取る。その後でから拭きしても良い。手入れが終わったら、風通しのよいところで一晩ほど陰干しする。頻繁に水拭きするとかえって傷めてしまうため、ケアは2~3カ月に一度程度に。なお、塗膜がない革や起毛革・毛付革は水拭きができない。ヌメ革は水分で表面が変化しやすいため注意が必要。

≪例外1≫起毛革・毛付革 

 起毛革(ヌバック、スエード、ベロア)や毛付革(ハラコと呼ばれるようなもの)は水拭きできないため、消しゴムタイプの専用クリーナーで汚れを落としたり、専用ブラシでブラッシング。靴も同様。

≪例外2≫エナメル革

 から拭きするか水拭き。靴も同様。から拭きするときは、汚れを伸ばさないように気をつける。

≪例外3≫ワニやオストリッチなど

 高級品が多く、クリーニング店に出すのがおすすめ。家でのから拭きも素材によって注意が必要。靴も同様。

 

靴

②靴のホームケア

 靴は専用のケア用品が充実しているので、素材や塗装に合わせて選び、正しい用法、用量で使うこと。メンテナンス剤の塗りすぎは逆効果なので、余分なものは拭き取る。服やバッグ用のケア用品を靴用に使うのはNG(逆も同様)。

 一般的なお手入れとしては、①ブラシで表面のほこりを落とす②布でから拭きし磨く③メンテナンス剤(ワックスやクリームなど)を塗り、ブラシでなじませる④布で磨き上げる、の順。ただし、エナメルや起毛革、毛付革は手入れが異なる。

 

③こんなときはどうする?

●(雨などで)濡れてしまった!

 これはバッグも服も靴も共通で、とにかく水気をすぐ吸収・拭き取り、陰干し。あせってドライヤーやストーブで乾かすのは厳禁。靴は型崩れしないよう、シューキーパーを活用する。

●革の色が他の服に移ってしまう・・・

 顔料仕上げの商品を選ぶと色が移りにくい。染料(アニリン)仕上げか、セミアニリンでも染料の多いものは色移りしやすいので、特に水分や湿度に注意。

●使わないときの保管方法は

 湿気は革に良くないため、湿気のこもらない場所に保管する。ビニール袋で隙間無くくるんだり、革製品同士をくっつけて保管するのはNG。また、クローゼットに置いている湿気取り剤は、商品によっては革に悪影響を与える場合があるので注意すること。

スクリーンショット (157)

(監修協力=小寺製革所) 

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