社会経験豊かな主婦活躍、柏のメンズ個店

2016/11/14 06:01 更新


《明日につながる人づくり》「ラグラグマーケット」時短社員に採用

顧客と長く付き合える店に


 地元の主婦に〝時短社員〟として活躍の場を与え、地方のメンズ個店の新たな人材確保・育成に挑む――千葉県柏市のメンズセレクトショップ「ラグラグマーケット」(スズキインターナショナル)は社会で自分の力を発揮したい子育て中のママを活用することで、レディスや食品など新しい分野に挑戦するとともに、地元の顧客と長く付き合える店作りを目指す。

 

 一般的に小売店の販売員は長時間労働で休日が少ない、給与も安いなどで長く続かないことが多い。「メンズ個店の場合、若い男性を雇っても数年で独立してしまうことが多く、人材が定着しにくいのが悩み」(鈴木太郎社長)だった。そのため、1年前からパートタイムの女性を重視した販売スタッフ(EC担当含む)のチーム作りにシフトした。店の営業時間、勤務時間、待遇など会社の制度も変更した。「営業終了時間を1時間短縮することで売り上げに影響が出ることは覚悟のうえで決断した」という。

 

地元の強みを生かし“時短社員”として奮闘する千葉恭子さん
地元の強みを生かし“時短社員”として奮闘する千葉恭子さん

 

 同社初の〝時短社員〟となったのは千葉恭子さん。昨年4月にパートタイムで入社。当初は週3日出勤し、EC業務を担当していた。秋から店頭での接客を始め、12月には正社員に切り替わった。今年からレディスのバイイングも担当することになった。千葉さんは都銀に就職した後、専業主婦をしていた時に自作のアクセサリーをネットで販売するなどしていた。「元々ファッションが好きで、少しでも関わりたいと思い入社した。個店は大企業とは違い全ての業務に関われ、新しいことを一から学べるのも楽しい。正社員として働けることは社会から必要とされていることも実感でき、人生の充実度が今までと全然違う」と目を輝かせる。自分で仕入れたものを薦める時は接客にも力が入る。「まずは女性ファンを増やすのが目標」と前向きだ。

 「能力と意欲のある女性にチャンスを与えたかった。千葉さんは社会経験が豊富で、地元のコミュニティーに精通するなど人間力が備わっているのが魅力。気難しそうな大人の男性客の心にも自然に飛び込め、高い満足を提供できる」。鈴木社長はそう話し、堂々とした接客ぶりを評価する。

 ラグラグマーケットは立ち上げて10年超。アメカジショップから始まり、現在はイタリアのメンズブランドを中心とした大人の店。今春からレディスを本格的に販売している。千葉さんのアイデアから健康食品事業として、ニュージーランドのハチミツの輸入販売も今年からスタートした。現在、社員4人。パート5人で運営している。

 鈴木社長は「ビジネスは規模を拡大しても継続しなければ意味がない。そのためには一緒に成長していけるスタッフが大切。とくに個店にとって地元の人材は大きな財産」と言い切る。

繊研 2016/10/03 日付 19563 号 1 面



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