クラシコム ユーザーの価値観と合致しオリジナル快走

2018/06/04 06:29 更新


 クラシコムが運営するECサイト「北欧、暮らしの道具店」で、オリジナルブランド「クラシ&トリップスパブリッシング」のウェアの販売が急成長している。

 オリジナルウェアの販売を開始したのは昨年春。以来、1シーズンで約6型を出してきた。販売数は、1シーズン当たり合計約1万枚。定価での消化率は100%だ。「発売から1週間ほどで売り切るのが、一番気持ちいいスピード」(青木耕平社長)で、ほとんどのアイテムがひと月以内に完売する。

 昨年、オリジナルウェア第1弾のブラウスを今春マイナーチェンジした新型は、3色で合計約5000枚が完売した。商品単価は1万円前後が中心。ドレスやフォーマル対応もできるアイテムでは、2万~3万円のものもある。

 好調の背景には、「いかにサイト訪問者の価値観にフィットするコンテンツを作るか」を重視する姿勢にある。読み物も豊富な北欧、暮らしの道具店のサイトはリピート訪問者が多く、月間訪問者数は約160万人、ページビュー1600万、インスタグラムのフォロワーは68万人を超える。

 訪問者の8割は30~40代の女性だ。「同質性の高いお客様が束になってきているメディアであり、そのリアクションを受けてのコミュニケーションを継続してきた蓄積がある。社員も皆、元お客様なので、全員がその感覚を理解している」とする。

 その感覚を生かし、ターゲット層の嗜好(しこう)や悩みにマッチする商品企画を絞り込む。「確実にヒットするものを大事に作り、リソースをかけ、売り切る」スタイルだ。オリジナルウェアがけん引し、服飾雑貨や仕入れ商品も含めると、ファッション関連商品の売上高は全体の半分を占めるようになった。

 これを受け、オフィスの近接に約60坪の撮影スタジオを設けた。プロのヘアメイク、カメラマンなどによるチームで臨む形にし、画像のクオリティーも向上させる。「まだ上限はあると見るが、そう遠くない将来に今のやり方での到達点が来る。そこをどう超えるか」が今後の課題だ。

 18年7月期売上高は「前期比25%増ほどで、二十数億円の見込み」。ここ数年と比較し伸び率が下がったのは、「マネジャークラスの育成のため、広告出稿を一時停止するなど、創業以来初めて意図的にブレーキを踏んだためだ。「秋以降、また伸ばしていく」としている。

18年春夏のカーディガン


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