クラボウが難燃加工「プロバン」を来春から量産 国内での受注販売は大和紡績と2社で継続

2022/11/08 06:25 更新


綿100%で風合いを保ちながら難燃性を付与できる「プロバン」。火の粉が落ちやすいという

 クラボウは、難燃加工技術「プロバン」を持つベルギーのソルベイと同技術のライセンス契約を結び、23年4月ごろからクラボウの染色加工拠点、徳島工場で同加工の量産を始めると発表した。

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 プロバンは綿100%の生地に対する難燃加工技術で、優れた洗濯耐久性を備える。加工生地を用いた試験では洗濯300回後も高い難燃性を保つという。用途は鉄鋼業など火の粉が舞う作業現場で使う保護具やユニフォームなど。日本では82年から大和紡績がライセンスを保有し、大和川染工所(大阪府堺市、8月末に操業停止)で委託加工をして、主に保護具向けの加工生地を販売してきた。クラボウもユニフォーム向けに長年販売をしてきた関係がある。

 大和川染工所の操業停止を背景に、大和紡績とクラボウが協議をした結果、クラボウがソルベイとプロバンのライセンス契約をして加工を担い、国内での受注販売は従来通り両社が行うことを決めた。加工設備は大和川染工所からクラボウ徳島工場に移譲する。クラボウによると、「徳島工場の知見とノウハウがプロバンに応用できた」という。

 「企業の安全意識の高まりを背景にプロバンの販売はこの10年右肩上がりで増えている」と大和紡績。需給がタイトな中で加工はストップし、ユーザー企業からは供給に対する懸念の声が上がっている。クラボウは「1日も早くバルク加工をスタートしたい」考えだ。



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