在校中の内定研修で離職ゼロ

2015/08/04 06:38 更新


 香蘭ファッションデザイン専門学校(福岡市)は、学生が内定先の企業の売り場で長期の研修を受ける「ショップトレーニング」を取り入れ効果をあげている。昨年度に初めて実施したが、トレーニングを行った学科では「今年3月に卒業した学生が1人も会社を辞めていない」という。

 ファッションビジネス科ファッションコーディネートコースの学生はショップトレーニングとして、昨年10月~今年2月まで週3日、企業の売り場で研修を受けた。大半は学生の内定先だが、中には学校の主旨に賛同して学生を受け入れたところもある。受け入れ先には学校が事前に訪問して「学生が入社後長く働けるようにしたい」と説明し、「業界を引っ張っていく人材を育てるために力を貸して欲しい」と訴えて協力を得た。

 研修は企業の育成プログラムに沿って進められるが、学校は「あいさつはできていたか」など7項目を5段階で評価するチェックシートを作って学生を評価することを依頼し、毎月学校が回収に出向いて、学生の指導などに生かした。

 研修日以外の2日間は登校日とした。各種の検定試験に備えたほか学生を集めて座談会を開いた。座談会では先生が「悩みはある?」「困ったことは?」などと問いかけ、各自が研修中に感じている問題を出させて共有化し、仲間と比較しながら置かれた環境や状況を客観的に判断できる場とした。

 学校は内定先と学生を取り持つ役割に徹し、例えば企業からあいさつの仕方に問題があると指摘された学生には事実を話して再度指導した。また会社の服を買うように何度も求めてきたショップには、ふさわしい服装をするように学生に指導すると伝えるとともに「無理強いはしないでほしい」と申し出て改善につなげたという。

 同校は「座談会のたびに学生が〝社会人〟になっていくのが分かった」とし、まだ「効果は断定できない」が、在校中に企業と職場と働くことの理解を深めることは販売員の定着率向上につながると手ごたえを感じている。



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