街中で花火が打ち上がるベルリンのカウントダウン “Silvester”(宮沢香奈)

2024/01/16 06:00 更新


2022年は大晦日の31日にベルリンを発ち、一軒しかないドーハ・ハマド空港のバーでなかなか来ないドリンクを待ちながら新年を迎えた。フライト中か空港で片手にシャンパンでも持ちながら「Happy New Year!!」と言いたかったが、そうはいかなかった。そもそもカタールはスンニ派のイスラム教徒の人がほとんどでアルコール自体が禁止されている。空港とはいえ、バーがひとつしかないことも納得できる。ちなみに、機内では他国のメーカーになるが、ビールやワインなど他の航空会社と同様に飲むことが可能。

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バーはなくてもブランドショップは豊富なドーハ・ハマド国際空港

今年はと言えば、久しぶりにベルリンで新年を迎えた。寒さはまだ大したことないが、10月末にサマータイムが終わると一気に日照時間が減り、灰色の世界が広がるこの街の冬はなかなか厳しい。冬季うつにならないように気をつける必要がある。そのため、クリスマスホリデーを迎える辺りから、一時帰国か温暖な他国へ行く人が多いのもベルリンの年末年始の特徴だ。

ドイツでは、大晦日のことを”Silvester(ジルベスター)”と呼ぶ。ローマ教皇シルウェステル1世(Silvester1)がこの日に崩御したため、命日として「シルべスター」と呼ばれるようになったとのこと。そのジルべスターには、街に残った人たちでどこかの家に集まって年越しを祝う、街中のクラブで開催されているカウントダウンパーティーへ行くなどが定番だが、ベルリンにはもう一つ恒例の行事がある。

それは、外やバルコニーに出て、ロケット花火や爆竹、打ち上げ花火をあげることだ。毎年子供が楽しみにするのは分かるが、そうではなく大人が誰よりも率先して楽しんでいる。しかも、花火のサイズは驚くほど巨大で、その威力もすごい。そもそもなぜ、花火なのか?他の国や都市でもカウントダウンに花火が上がるところは多く、特に珍しくはないため、その背景を知ろうとも思わなかった。しかし、プロが打ち上げるのではなく、素人の一般市民が行うことは珍しい。

新年を迎えた瞬間が一番激しく花火が打ち上がり、数時間続く

ドイツでは、花火や爆竹は戦時中を思い起こさせるという理由から基本的に禁止されており、スーパーなどで販売もされていない。しかし、12月29日から31日の3日間だけは花火が解禁されるため、待ってました!!とばかりに大はしゃぎする人が多い。大きな音を出すことで悪魔や厄を追い払うという言い伝えもあるという。

全く知らないことばかりで驚いたが、長年住んでいる国や街のことを全然知らなかったことに気づいた。もっと知っておくべきだろう。実は、このジルベスターの花火には賛否両論ある。私自身もベルリンへ移住したばかりの頃は、興味津々で友人たちと外に出かけては花火を楽しんだ。しかし、今は家の中から街中に花火が上がる様子を眺めるだけで、絶対に外には出たくない。ロケット花火や爆竹が飛んできて火傷やケガをするのが怖いからだ。実際に毎年ケガ人が出ているらしい。うっかり窓を開けっ放しにしていたら打ち込まれて火事になったりする危険性もある。花火はプロの手によって空に美しく打ち上がるのを見ていたいものだ。

街中に警察が出動するジルベスターの夜
道端に投げ捨てられた花火のゴミの山

朝方まで続く花火によって、街中に黒煙が立ち登り、まるで戦場のようになる。花火の燃えかすやお酒の空き瓶が散乱し、日頃から決してキレイとは言えないベルリンの街がより一層汚くなり、その光景はとても環境先進国とは言えない。しかし、1年間を無事に終え、新しい年を迎える瞬間をみんなで祝いたいという気持ちはどこの国にしても同じである。激し過ぎる花火だけどうにかならないのか?と毎年思ってしまうが、この恒例行事が全く消えてしまったら、それはそれで寂しく思えるのかもしれない。

多国籍な料理が豪華に並ぶハウスパーティーが幸せ

2024年の始まりは、今では貴重なスクワット(廃墟を占拠してDIYで住居にした建物)のスピリットを残す友人のコミュニティハウスでカラオケ新年会が開催された。ベルリンカルチャーのルーツであり、守るべき文化がそこには存在する。これはまた別途お届けしたいと思う。

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長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。

セレクトショップのプレス、ブランドディレクターなどを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積みながら、ライターとしても執筆活動を開始する。ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーの取材を行うなど海外へと活動の幅を広げ、2014年には東京からベルリンへと拠点を移す。現在、多くの媒体にて連載を持ち、ベルリンをはじめとするヨーロッパ各地の現地情報を伝えている。主な媒体に、Qetic、VOGUE、men’sFUDGE、繊研新聞、WWD Beautyなどがある。



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