もやもやする!(藤永幸一)

2016/06/30 00:00 更新


地元の商業施設が、先日(24日)からSALEに入りました。えっ?!?!って、感じです。空を見上げれば、どんよりした雲から、今にも雨粒が落ちてきそうな天気。夏?いえいえ、まだ梅雨真っ最中。それなのに、夏のSALE?!?!。

結局は、春以降、盛り上がりもなく、百貨店をはじめとして景気が芳しくなく、売上も低調だったということでしょう。それで、在庫処理も考えて、SALEに打って出る。いつまで、こんなことを続けるのでしょうね。自分の首を締める真似ばかり!

 


 

そして、現場をさらに疲弊させます。もやもやするのは、真剣に、「ブランド」を考えて、「ブランド魅力・価値」を創造しようとしている企業が、あまりに少ないことへの情けなさ。

「ブランド」を育てることには薄情で、「目先の数字」に踊らされている逃げの商売姿勢への小さな怒り。逃げでなければ、楽な商売。売上不振は、天候のせい、現場のせい、商品のせいと、いくらでも責任転嫁ができるわけです。

そういう態度が、購買客の指向を、「価格価値で買物をする」偏重傾向に追い込みます。ファッションというジャンルでの購買決定が、なんのことはない、実用品、スーパーでの食材調達と同じ基準に絞り込まれてしまっています。

最初に、価格ありき!

売り手も、売りやすいものを求め、買い手もより安いものを求めるというフレームで揺られ続けてきて、現場の体力は落ち、スタッフは育たず、客もファッションへの背伸びを止めてしまった。「ワクワクする高揚感」が失せています。これでは、活性化するはずもありません。

 


 

ECの売上が急成長しています。新しい販売チャネルとして伸びて行くのは当然ですが、ここでも、単なる「金」競争を演じている傾向が見られます。

販売チャネルがどのように増えようと、「ブランド」は軸がぶれてはならないはず!でも、実際は、「数字」に偏向した話題ばかり!いかにして「ブランド」を育てるかが論じられることは少なくて、いかに売上のパイを増やすかということに執着しています。

リアル店舗はショールーム化する。スタッフは、ブランドの伝道者であり、コンシエルジュであり、なによりブランドの真のファンであるべきと説いても、本気で耳を貸すところはごくごく一部。今、人材を育てる、リアル店舗をつくるラストチャンスかもしれないのに!

このしくみにおちいることなく、「ブランド」を大切にし、ブランドを伝えるスタッフを育んできた企業は、きちんと成長しています。理念、コンセプト、想い、歴史!

アパレルだけでなく、ほかの業界でも、数字に目がくらんだ拡大競争に走り、価格競争に巻き込まれ、「数字のマジック」にいいように操られている事例はたくさんあります。

 


 

「ブランド」という言葉の重み、育む努力の大変さ。戦略不在のもやもやマネジメント!楽な仕事が横行しすぎです。中堅どころで、勢いあるアパレルもいくつか見られます。大いに期待したいものです。



20年のアパレル体験で痛感したこと=仕事の悩みは、本当のところ、「人間関係」。2000年に、「レックス」を設立。「仕事を楽しむスキル」を学んで、「元気な現場」をつくるサポートをスタート。自分が「楽しい!」と感じれば、相手にも好感度が伝わる!大手アパレルとの長いお付き合いで、スキルは常にバージョンアップ中!



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