日本の衣料品自給率は25年、1.1%まで低下した。危機的とも映る数字を前に、大学の講義で学生から投げかけられた「私たちにできることは、何かありますか」という問い。25年前のイタリアでの取材を思い返しながら、物作りと、それを取り巻く「共事者」のこれからを考える。
(編集局長・若狭純子)
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「私たちにできることは、何かありますか」——ある大学の講義の終わりに、そう質問した学生がいた。年に何度か「ファッションビジネス概論」なるテーマで話す機会があり、今夏の授業では、日本の衣料品の自給率が25年に1.1%まで落ち込んだ話題にも触れた。この数字を真摯(しんし)に受け止めたようだった。
学生の問いが残したもの
環境に配慮した製品や地産地消など、いわゆるエシカル(倫理的な)消費を志向していても、学生が出せる額は多くないし、しょっちゅうというわけにもいかない。でも、自分たちが身に着ける衣類に関して、日本の物作りが危機的状況にあると知り、素直な声が出たのだろう。
「お店やECで気に入ったものが見つかったら買ってほしいことはあるけれども、まず、今のその気持ちを大切して、これからも関心を持ち続けてほしい」と話した。「物作りの現場は本当に面白いし、工場見学などオープンに見せる職人さんたちも増えていて、皆さんがもっと知ってくれることがうれしいし、発信もしてくれると、励みにもなるはず」
あまり良い答えではなかったと思う。正直なところ、これほど真っすぐな問いを想定しておらず、あたふたしてしまった。しかし、おのれの恥はさておき、何かを作り出すという人間の営みへの敬意や柔らかに共感する心に触れ、帰りはすがすがしい風に吹かれているような気がした。
「産地はとうに、死んでしまった」
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