アパレル求人難、人材確保に不安材料

2014/12/09 06:36 更新


 岡山でファッション販売員の求人がこれまで以上に難しくなっている。大型のイオンモールの誕生で表面化した。各テナントでは時給を引き上げて人員を確保しているが、いまだに必要人員を採用できていないところもある。アパレル店舗運営や接客にたけた人材を獲得するためには、企業規模の大小にかかわらず、長く働ける環境作りなど、待遇の改善が必須課題だ。

 イオンモールには350の新規テナントができ、約2000人の採用の枠ができた形。開業前の合同面接会では、慣れ親しんだ地元企業、全国的に知名度があるテナントとの面接を希望する人が多く、メンズ店や2号店企業などは人材確保に苦しんでいる模様だ。

 岡山に店を持つインターナカツ「ジーンズファクトリー・ララ」は、知名度もあって採用は進んだが、時給はあえて1000円に上げて定着を狙う。ただ「未進出エリアへ出す場合、人材確保が今後の大きな不安材料になった」とする。

 時給で差も出ている。地元企業は知名度と人脈を生かして、時給800~850円、店長クラスで900~1100円で確保。一方、他エリアから進出するテナントはアルバイトで900円以上、高いところでは1200円を提示している。こうした状況に対し、「今後は高時給企業へ人が動く可能性もある」との指摘がある半面、「以前から働いている人との給与差が出る。今後は時給を下げないと利益面が厳しい」という声もある。

 人手不足を人材派遣で補うところもあるが、派遣登録者は事務系の人材が多く、アパレル接客の販売職は全く足りていない。そのため、本部や既存店からの応援部隊で乗り切ることを余儀なくされており、コスト面での負担は増す。

 商品・売り場は過剰気味で、同質化が目立つ中で、販売力の差は売り上げに直結する。地元岡山で専門店の運営・販売代行をするマルミヤグループは、イオンモール岡山で11ブランドの販売を代行する。岩本祐典専務は「今後の伸び代は販売員の接客力とマネジメント力に左右される。そのため店長やマネジャー級が求められている。そういったクラスに就労してもらうには、時給よりも、働きがい、休暇の取れる環境、割増賃金など待遇面が今後一層重要になる」と話す。

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