「エイポック・エイブル・イッセイミヤケ」 プロジェクト第7弾は楮糸に着目

2024/01/04 10:59 更新


三彩では、楮の繊維からそのまま一本の糸にすいて加工している

 21年にスタートした「エイポック・エイブル・イッセイミヤケ」(以下、エイポック・エイブル)は、土佐の楮糸(こうぞし)にフィーチャーした最新企画「コウゾシ・プロジェクト」を発表した。

 エイポック・エイブルは、98年にスタートした一体成型の服作りを探求するプロジェクト「エイポック」の進化系。業種を超えた協業で、新たな可能性を形にすることを目的とする。

 七つ目となるプロジェクトでは、高知県土佐市にある三和製紙グループと協業した。着目したのは、三和製紙に所属する三彩の仕事。江戸時代から地元に根付く土佐楮を使った紙作りを継承する企業で、次世代へとつなぐさまざまな取り組みに挑戦している。

 三彩創始者の森澤豊明氏の「楮こそ、最高の繊維」という強い思いから、18年から和紙作りの技術を応用し、従来とは異なる製法で楮和紙糸の開発に取り組んできた。

 一般的な和紙の糸は、マニラ麻を主とするロール紙をスリット状に割いて撚糸しているが、三彩では、楮の繊維からそのまま一本の糸の形状に漉いて加工している。これは世界で初めて開発された製造技術という。楮の施設栽培から糸になるまで、全ての工程を三和製紙グループ内で一貫生産している。

 エイポック・エイブルは、三彩の楮糸作りにかける熱い思いに共感し、約3年前に同プロジェクトを開始した。糸や布ができ上がるまでのプロセスを紹介し、伝統を未来につなげることが活動の目的となる。

 まずは1月5日から、イッセイミヤケ京都のギャラリー「KURA」で、楮糸作りにかける現場の人々を追ったドキュメンタリー映像を上映するとともに、糸や布に触れる場を提供する。

 プロジェクト第1弾となる楮糸を使ったストールは、5月に発売を予定している。

楮糸を使ったストールは5月に発売する


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