昨年秋ごろから国内縫製工場全体として「仕事が薄い」という声が出ている。老舗縫製工場のアイエスジェイエンタープライズ(岐阜市)の井川貴裕社長に現況と今後について聞いた。
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――工場の状況は。
オーダーが少ないのが現状です。これは同業他社に聞いても同じです。違和感が出始めたのは、昨年の10月ごろです。仕事依頼が少しずつ減少してきました。一過性と思ったのですが、繁忙期の3~6月も今年は少し空きがありました。
――原因をどうみる。
複合的だと思うのですが、一つは中国の不景気の影響だと思います。中国の縫製工場に閑散期が出ており、「何でもいいから縫いたい」という工場もあると聞きます。100枚程度の小ロットでも受けるようになりました。それにより、従来国内工場が受けていた仕事が中国に流れてしまったのではないでしょうか。
――今は。
少し改善してきています。展示会で受注を得てから生産に入るブランドもあり、そのあたりからの発注があると工場は回っていくと思います。ただ、為替動向も含めて読めない部分があります。
今後は、ユーチューバーなどインフルエンサーが展開するブランドとの取引を進めていきたい。また、輸出できるようなブランドの縫製も担っていければと思っています。