グローバルSCとして社会的責任とは

2016/10/14 05:45 更新


 国際人権NGO(非政府組織)ヒューマンライツ・ナウは13日、「ユニクロ」のカンボジア委託先工場が行った労働者の不当解雇問題で、ファーストリテイリング(FR)が労働者の人権を守るために工場への指導を行わず、グローバルサプライチェーンとして社会的責任に問題があるとして、厚生労働記者会で会見を行った。

 会見では、15年4月に労働環境問題で同団体が指摘したカンボジアのゾンヨンビー工場で、同年9月に工場経営側が労働組合に加盟した従業員51人を解雇、16年2月には200人以上を解雇したと指摘。解雇状態がいまだ続いている状況が報告され、生産を委託するFRが工場に対し、問題を改善する指導を十分に行っていないとした。

 同工場では欧州のH&M、リンテックスも委託生産し、両社は労働者を復帰させるよう工場側に求め、人権擁護の立場を鮮明にしている。一方、当問題をきっかけにH&Mの生産数量が減っており、同工場生産の5割がユニクロ商品となっているという。伊藤和子ヒューマンライツ・ナウ事務局長は「我々は労働者の権利を守る方向での進捗(しんちょく)、グローバルサプライチェーンとして社会的責任を果たすことを希望している」と話した。

 一方、FRは当問題について、16年1月に工場の労組からの書簡で争議を認識、工場に従業員との対話を通じての和解を求めてきたとする。問題が長期化し、現在は工場経営者に、解決期限の明確化と従業員との和解を強く要望、近々工場から回答が来る予定とした。「工場とその労働者の問題に直接介入は困難だが、人権と労働環境改善の解決に寄与するために働きかけは強めていく」とした。



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