《わが社の物流倉庫》ファイブワン「エフクラウド」 倉庫管理システムを自社開発

2024/06/26 06:26 更新


撮影機能付きの検尺機

 テキスタイルコンバーターのファイブワンが運営する「エフクラウド」は、テキスタイル専門物流倉庫だ。所在地は東京・越中島。都心に構える「都市型物流倉庫」として21年の2月から稼働している。生地メーカーとアパレルの中間に立つ企業として、仕入れ先にも売り先にも良好なシステム構築を推進。デジタル化した管理・発注システムに加え、本州であれば発注を受けた翌日までに届けられる対応力が特徴だ。

 倉庫内のすべての反物にはシリアルナンバーがふられ、自社開発のWMS(倉庫管理システム)により入出荷、在庫管理が一括で可能。倉庫内商品のピックアップ作業や出荷処理も同システムで実施し、出荷先1カ所につき1枚プリントされるピッキングリストには品番、棚番から反物、畳み、巻きなどの出荷形態、メートル数などを記載する。同じ商品が他の出荷先からも発注があった場合はその旨も明記。カット作業を集約して作業を効率化する。

反物についたQRコードを専用の端末で読み取りピックアップする

 倉庫内には撮影機能が付いた検尺機と検反機を設置し、出荷メートル数の測定と同時に撮影することで、生地の状態をデータ化する。検反機には衣料管理士が常駐して状態を確認し、徹底した品質管理を実施。撮影データは出荷先にも共有されるため、各方面に生地の状態が可視化される。

検反機では衣料管理士による状態確認を随時実施

 同社のWMSは、生地を発注するユーザーごとにアカウントを発行し、自社取引の履歴確認や、商品発注をデジタルで完結する。出荷進捗(しんちょく)も随時確認でき、商品検索機能でアーカイブのような使い方も可能だ。

 エフクラウドは、生地卸を手掛ける同社の新たな付加価値としてスタートした。サプライチェーンの中で発生する生地の傷みや破損など対しての許容範囲が各社ごとに異なる現状に対し、「エフクラウドを通して状態をはっきりさせることにより、やり取りをスムーズにする」(堀内信宏代表取締役社長)目的で検反機の導入を決めた。

 今後は、栃木に所有する刺繍工場に同様の倉庫機能の設置を進めるほか、既に実施しているエフクラウドと連携したBtoC(企業対消費者取引)のECサイト運営など、他事業との連携も強めていく。

■ファイブワン「エフクラウド」

 千住倉庫(東京都江東区)の越中島営業所の4階に開設。荷物の積み下ろしは西濃運輸が担当。

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