ファッションビジネス学会(FB学会)はファッションの持続可能性を考える「リファッション」のシンポジウムを7日、東京・文化学園で開いた。10回目となる今年は、SDGs(国連の持続可能な開発目標)をテーマに、講演や研究発表を行った。
中原秀樹東京都市大学名誉教授による「リファッションとエシカル」をテーマにした基調講演は、地球環境が限界に近づいている今、消費者や企業がエシカル(倫理的)な選択・行動をすることの必要性と、その選択が地球とのウィンウィンの関係を作ると強調した。
H&Mジャパンの山浦誉史CSRマネージャーとジェンナー真帆PRプロジェクトリーダー、ジムの早川千秋専務は、各企業のサステイナビリティー(持続可能性)への取り組みを報告した。H&MではサステイナビリティーとSDGsの目標を連動させていることや、年度目標を持ってコットンやその他素材をサステイナブルなものへと切り替えていること、古着回収の進捗(しんちょく)とイノベーションへの支援、サプライヤーの労働環境改善、企業の平等への取り組みなどを説明した。
早川専務はオーガニック綿ブランドとしてスタートした「ギブライフ」の生まれた背景やリバースプロジェクトとの協働など、ブランドの歴史と変遷を説明しながら、卸売りブランドのために小売店の売り場環境に左右されてしまう課題についても言及した。
研究発表は、東京家政大学服飾美術学科3年生の藤岡七海さんによる、リクチュール(不用になった衣服や残反を活用した服作り)の度合いを数値化する方法の提案と、同イベント実行委員の若手3人が、若い世代の価値観の変化やサブスクリプション(商品を購入するのではなくレンタルし、利用した期間に応じて料金を支払う方式)の広がり、サーキュラーエコノミー(製品・部品・資源の価値を目減りさせずに永続的に再生・再利用し続けるビジネスモデル)の必要性など、次世代のリファッションをテーマに発表した。
