【ファッションとサステイナビリティー】ルートート トートバッグで社会貢献 リサイクルやクリーン活動

2021/03/31 06:00 更新


 トートバッグだからこそできる社会に向けた取り組み。ルートートはトートバッグブランド「ルートート」で、そんな商品開発や活動をSDGs(持続可能な開発目標)が打ち出されるずっと以前から進めてきた。トートバッグを発信し、収益事業としてサステイナビリティー(持続可能性)やSDGsを推進している。

社会をより良く

 ルートートのミッションは「トートバッグを通じて世界に感動を広げ、社会をより良くするメディアであり続ける」ということ。「トートバッグだからできること、プロダクトとして脇役としてコトやムーブメントを起こせないか。トートバッグはアートであり、社会的に文化的に発信することでトートバッグへの親しみ、用途の広がりが進んでいく」とし、サステイナビリティーやリサイクルの発想も取り入れやすいと見る。トートバッグを単に販売するだけでなく、社会的に文化的に発信することでマネタイズできる事業として進めていくのが基本だ。

 同社(19年まではスーパープランニングが事業を運営)がペットボトルの再生素材を初めて使用したのは04年。試作品として販売したが、リサイクルを手掛けようというメッセージをトートバッグに込めたものだ。その後、きものの端切れを活用したり、10年には「コカ・コーラ」と組んで再生ペットボトル素材を使用したトートバッグを販売するなどいろいろな企業や人のネットワークを生かして興味の湧く楽しいチャレンジとして取り組んできた。

 11年には首都高速道路によるリサイクルプロジェクトに賛同し、首都高で使用する横断幕を再利用し、トートバッグを作った。視認性の高いインパクトのあるデザインが好評で、現在でも継続し販売している。

首都高の横断幕を再利用した「はたらくトート」

 残渣(ざんさ)を活用した一例は、11年にアースデイ東京の活動を支援する企画として、廃棄するはずだったブルーベリーの残渣、残滓から生まれた染料で、タイダイ染めしたトートバッグを販売した。

 トートバッグ型ダストボックス「ルー・ガービッジ」は、環境問題に取り組む商品となった一例だ。12年に「ゴミは思い出と共に持ち帰ろう」という思いから企画し発売、アウトドアなどに使用できる大きめのトートバッグで、市販のポリ袋を取り付けることでダストボックスになる。14年には「SAKURAクリーン作戦」と称して東京・代官山周辺の花見などで出たごみを桜柄のルー・ガービッジで集めるイベントを行い、以後、毎年開催してきた(20、21年はコロナ禍で休止)。環境保全の活動というだけでなく、国学院大学の学生など学校や地元店舗などの賛同を得て、地域とつながっていくことも意図して取り組んでいる。

「ルー・ガービッジ」が活躍したSAKURAクリーン作戦

 13年にはルー・ガービッジで展示会の使用済みカーペットを再利用したパーツを組み合わせて作るワークショップを「東京デザイナーズウィーク」で開催した。「JFWインターナショナル・ファッション・フェア」(繊研新聞社主催)で使用された様々なカラーのカーペットからバッグのパーツを作り、好きな色のパーツを組み合わせることで自分好みのバッグに仕上げるというものだ。16年の「東京デザインウィーク」でもワークショップを出展した。19年のG20大阪サミットに関連して開催された「G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会議」でビーチのクリーン活動で集められた海洋ごみをリサイクルして作られたルー・ガービッジが日本政府から各国に贈呈され、併催された展示会でも展示、紹介された。

使用済みカーペットをアップサイクルした「ルー・ガービッジ」

地域とつながり

 この2、3年で一気に普及したエコバッグも同社が最初に手掛けたのは03年。折り畳んでコンパクトに持ち運べるもので、エコなバッグとして出したものの必ずしもレジ袋を削減することを強調したものではなかった。08年にはのし付きのエコバッグを年賀用に販売する「エコ年賀」企画をスタートし、以後、正月にエコを考えるきっかけづくりの企画として継続している。今ではエコバッグ専門ショップを出すなど多彩なエコバッグを揃えている。

 地域とつながり読書文化を応援する活動として取り組んでいるのが「本とトートでつながループロジェクト」だ。第1弾として群馬県太田市と連携し、21年2月に太田市美術館・図書館と貸し出し用トートバッグを企画した。バッグを持ち歩くことで地域で「本が好き」という共感を生み出そうという取り組みだ。今後、SDGsに沿った取り組みとしてプロジェクトを広げていく。

 このほか、リサイクルを推進するため、使わなくなったルートートの回収を直営店で行っており、日本環境設計が展開するリサイクル事業「ブリング」と連携して繊維製品や自動車内装材などに再生している。

 今後も環境に配慮した商品開発を進めていく。廃棄されるヨットの帆や漁網を使用したプロダクトを7月の発売を目指して準備している。

(繊研新聞本紙21年3月31日付)

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