パタゴニア日本支社が、修理などで製品の長期使用を消費者に呼び掛ける「ウォーンウェア」活動を強化している。このほど、衣類の買い取り・販売のため、「古物商許可」資格を取得。8月20日~9月26日には、自社スタッフから買い取った古着を中心に揃えた期間限定売り場を、直営店の「パタゴニア東京・渋谷」内に設けた。今後は一般客から仕入れた古着の販売も、視野に入れている。
「買っては捨てる」という一方向のビジネスモデルが環境に悪いのは明らかです。アパレル自体が環境へのインパクトが大きい産業であり、日本では(家庭から手放される)衣料品の66%が、最終的には焼却されたり、埋め立て地で処分されたりしているとか。私たちは、少なくともその中で循環性のあるビジネスを追求し、環境に与える悪影響を最小限にしたいと思っています。
ウォーンウェアの活動を通じ目指しているのは、製品の寿命を最大限長くすることと、寿命をまっとうした製品が埋め立て地に行かず、焼却処分されないよう責任を果たすこと。
日本市場に参入して33年が経つ企業として、日本において製品のライフサイクルに関し、もっと踏み込んで責任を果たすべきだと考えました。
そこでまずは社員から製品を買い取ることから始めることにしたのです。中古品を1枚、再販売することでCO2(二酸化炭素)を4.9キログラム削減でき、カーボンフットプリント削減効果もあると見ています。
米本社では昨年、ウォーンウェアビジネス(アップサイクル製品販売と古着販売)が40%成長しました。アメリカにおける古着市場はこの3年で21倍に成長し、さらに23年にはその倍になると予測されています。
古着販売は、パタゴニアのミッションステートメントに合致するだけでなく、ビジネスチャンス。我々は消費者の行動変容を求めているわけですが、このデータからもその変化はより速く進むことが期待できます。
日本でも、ウォーンウェアビジネスの拡大を期待できますが、まだ第1ステップの学習の段階といえます。中古品販売は新製品ビジネスに比べて複雑な側面があります。
まず買い取りをすることが前提ですし、買い取ったものをクリーニングしなければなりません。日本のお客様がどれだけパタゴニアの中古品をお望みなのかを理解する必要もあります。
しかし、ビジネスモデルをきちんと確立すれば、新製品販売よりもウォーンウェアビジネスのほうを早く成長させていきたいと思っています。
これまで日本で取り組んできたウォーンウェアイベントへのお客様やスタッフの反応、国内リセール市場の堅ろうな成長ぶりを見ると、このビジネスに大いに可能性を感じます。また、そもそも日本人は、古くても状態が良い製品に対してなじみがあり、古着販売と国民性との親和性も高いと思っています。お客様の声を聞きながら、着実に成功させていくつもりです。
(繊研新聞本紙21年9月29日付)