【ファッションとサステイナビリティー】ジュンが掲げる「ゴー・クリーン・ゴー・フューチャー」 「今できることから」全活動で推進

2024/01/30 05:30 更新


リサイクル素材活用アイテムには共通タグを全ブランドに

 ジュンはSDGs(持続可能な開発目標)やサステイナブル(持続可能)に、多種多様な取り組みを継続し続けている。佐々木進社長は「企業としてSDGsは、当たり前のように重要」という。21年11月にはSDGs推進活動におけるステートメント「ゴー・クリーン・ゴー・フューチャー」を掲げ、今できることから取り組み、社内啓蒙(けいもう)や施策がより加速している。

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SDGs推進室が旗振り

 推進の一つが30年までにサステイナブル素材の活用を100%にすること。21年11月から具体的な数値をまとめ、22年1月末は6%だったが、同年2月には21%、同年末には43%と活用率がアップ。23年は目標の50%には届かなかったが、49%と高まっている。

 ブランド別活用率は現在、「ロペピクニック」が約60%で一番、次いで「アダム・エ・ロペ」「ビス」と続く。「ジュンレッド」はブランドの規模は小さいが、23年からSDGsプロジェクト「ゴートゥゲザー」を始動。沖縄のサンゴに焦点を当てた協業や、公式ユーチューブでストーリーを発信するなど、チームの意識が高い。

 活用率のスピードが早いのは「SDGs推進室」の存在も大きい。ロペピクニック事業部課長・製造マネージャーの飯箸まりかさんや総務部の小松康弘さん、マーケティング部次長の篠田理恵さんなど、現在は5人体制で「旗振り役」を担っている。独立した部署ではなく、各部署からメンバーが集まり、トップダウンではなく現場を持ちながらけん引役や企業発信を行っているのが特徴だ。

 毎月、サステイナブル素材活用率をヒアリング、全社で共有しステートメントへの認識を高めている。また、活用事例などを社内メルマガで配信。アンケートによるインタビュー「自分が心掛けているSDGs」なども掲載し、身近に感じられる事例などを共有。昨年は雰囲気を盛り上げるため、自分の周りで頑張っている人を推薦し、社として評価する「SDGs大賞」を実施し8人を推薦した。

 また、後押ししているのが本社のフリーデスク化(21年11月)という。各ブランドは企画やMD、PRなどのチームで動いているが、週の数日は職種別に集まることをルール化。ブランドの垣根を越えた横断的な情報交換やコミュニケーションを深めることになった。単一ブランドではサステイナブル素材の活用が進まなかったケースも、ほかのブランドの情報や活用事例の共有が進み、一緒に取り組めないかなどの話し込みも活発になっている。

活動活発、意識も向上

 循環型ファッションプロジェクト「リアッシュ」は23年秋冬からスタートした。企画の横軸から生まれたプロジェクトで、アップサイクルをやりたい有志社員が立ち上げた。最終的に販売するため、MDやEC、製造などの担当も集まって、「徐々に広がりを見せて、楽しみながら行っている」。社員の意識も向上し興味を持つ社員も増えており、「それぞれがチャレンジできる社風や環境がある」ことも強みとなっている。

今春春夏からは企画を進化させている「リアッシュ」

 個別ではロペピクニックが伊藤忠商事の「ウェア・トゥ・ファッション」に賛同し、22年8月から衣類を回収しリサイクル・リユースをスタートした。客は回収に楽しんで参加している雰囲気で、「状態の良いものが多い」と、リユース率は96.6%と高い。今春からはビスも参加する。

 ほかにも「サロン・アダム・エ・ロペ」で日本生まれの物作りを発信するプロジェクト「ニッポンカルチャー・バイ・サロン」や羽毛の再利用を推進する「グリーンダウンプロジェクト」など多様な取り組みを継続している。

 日本で関心が高まる前から環境課題への取り組みも進めている。運営する「ロペ倶楽部」(栃木県塩谷町)は11年の東日本大震災を機に、ソーラーパネルを設置。18年からは「くまの木里山応援団」の協力のもと、敷地内遊休地の里山活動に取り組んでいる。地元や団体からは「ゴルフ場のオーナーが変わらないことは、活動が継続できている」とも。22年1月には「とちぎSDGs推進企業」として登録された。

息を吹き返しているという「ロペ俱楽部」遊休地の里山活動

 また、21年9月からは、「ビオトープ」福岡店をエコ電100%運営に切り替え、「ビス」広島店も同様なエコ電運営となっている。SDGsは「プロジェクトを継続していくことに意味がある」と強調。今では「全社的な物になってきており、足並みが揃っている」と、今後もさらに身近なものから取り組んでいく考えだ。

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(繊研新聞本紙24年1月30日付)

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