毎日の着こなしをプロがサポート ファッションパートナーの「スタイリスト」

2020/01/02 06:29 更新


《販売最前線》ファッションパートナーの「スタイリスト」 毎日の着こなしをプロがサポート

 パーソナルスタイリストを美容師のような身近な存在に――ファッションパートナー(東京、小野田史代表)の「スタイリスト」は、スタイリストと一般消費者のマッチングサービス。自宅を訪問し断捨離のサポートやコーディネート提案をする「ワードローブエディット」(WE)、買い物に同行する「ショッピングアテンド」(SA)の二つを提供する。

(森口萌美)

 プロのノウハウを一般消費者に提供し、スタイリストの仕事の幅を広げたいとスタートした。従来のパーソナルスタイリストよりも、手軽で敷居が高すぎないサービスを組み立てた。着飾ることではなく、日常着や仕事着の提案がメインだ。買った服の合わせ方が分からず失敗したり、毎日の服選びに手間取って時間を費やすことがないようにサポートする。

 サービスはWEから薦めている。クローゼットの中身を精査し、手持ち服を把握することで、合った服や足りない服をSAで補えるからだ。どちらのサービスも価格は1時間1万円からで、1回につき2~3時間を推奨している。

◆手持ちの服で基本の型を見つける

 WEはスタイリストが客の家に訪れ、クローゼットの中の服を整理しコーディネートを組み立てる。すぐにコーディネートを組むのではなく、まずは洋服の断捨離をする。普段よく着る服を把握し、着ていない服やダメージの多い服は省く。

 断捨離をしながら客とコミュニケーションを取って、得た情報を元にコーディネートを組む。いくつかパターンを見せた後、実際に客に着てもらって袖をまくったり裾をインしたり、細かな着こなしのアドバイスをする。例えばトレンチコートなら、ベルトを後ろできつめに結び、身頃を開けることでコートから見えるインナーの色とトレンチコートの色のバランスが良くなる。

 スタイリストはコーディネートした洋服を客が着た写真を撮り、サービス終了後に送るレポートに活用する。ここまででおおよそ2時間だ。3時間の場合はプラスして、洋服の整理や収納の方法を提示する。

 主にWEでは、客の洋服のベーシックとなる基本の型を提案する。ファッショナブルであったり着飾ることが目的ではない。いずれはスタイリストなしでも、一連の流れを客が一人で出来るように、レポートなどを使って振り返りが出来るようにする。

スタイリストの菊池ゆかさんと。普段はどんな服、どんな色を着るのか、今日は何が欲しいかなどを話しながら店内を見て回る

◆店では足りない服、新しい発見のある服を

 SAではスタイリストが客と一緒に買い物をする。場所は客の希望でもスタイリストにお任せでも構わない。買い足しのサービスのため、予算や欲しいアイテムも事前に聞く。スタイリストは、どの店を回るか事前に時間の組み立てもするという。

店のスタッフとも協力して商品を選ぶのが「スタイリスト」の特徴

 待ち合わせをして、最近の購入品やどんなものが欲しいかなど、コミュニケーションを取る。店で商品の目星を付けたら試着をする。WE同様、着こなしのアドバイスをして、必要なものや足りない物はどれか見極めていく。すぐ購入するのでなく取り置きもしながら2軒目、3軒目と店を回る。全て回った後買う物を決める。必要であれば当日1時間単位での延長も出来る。

洋服を見ながら合わせ方のアドバイスも教えてくれる

 終了後はWEと同じようにスタイリストからのレポートが届く。保留にした商品の情報や、購入した商品に合うコーディネートの提案などもする。

【ショッピングアテンド体験リポート】

 実際にSAを体験した。まずはネットでの事前登録と予約をする。予約の際は個人情報と希望のサービス、スタイリストの選択、第3希望までの日時と、今回はSAのため場所の希望も入力した。普段よく買うブランドや身長・体重、欲しいアイテムなども入力する。その後予約確定のメールが届き、事前準備は完了だ。

雑誌や女優のスタイリストとして30年以上のキャリアを持つ菊地ゆかさんと待ち合わせ

 当日、指定された場所で待ち合わせた。今回はスタイリストの菊地ゆかさんにお願いした。店内で普段着る洋服のテイストや色、どんな形が好きかなどについて話しながら商品を見て回った。鏡で商品を合わせながら、どの色が良いか見た時の印象とこちらの希望を合わせて選んでいく。

あまり選ばない色でも合わせ方によっては着やすくなるなど、買い回り中にも普段のヒントになる話がたくさん

 欲しいアイテムで挙げたワンピースとニットを中心にいくつかのアイテムとそのコーディネートを提案してもらい、試着へ。洋服だけではなく靴やバッグも合わせる。

靴以外にも合うバッグなども提案してくれる

 一つ目はワンピースとカーディガン。「ドレッシーな印象のワンピースもカーディガンやスニーカーと合わせることで普段使いしやすくなる」と菊地さん。

 二つ目は肩にスリットが入ったセーターとパンツ。普段ならグレーも緑も自分では選ばない色で、合わせたパンプスも新鮮な印象。「カジュアルなアイテムにはパンプス、ドレッシーなアイテムにはスニーカーがトレンド的にもバランスが取れる」とのこと。

普段なら白を選ぶ記者だが、菊地さんのアドバイスは「グレーが良さそう」とのこと
(左)あまり履かないヒールの靴も選んでもらうことで安心感がある(右)袖のまくり方など細かなアドバイスも充実

 聞いたことはあってもなかなか自分では挑戦しづらかったため、スタイリストに合わせてもらうと安心感がある。普段なら部屋着っぽく見えるグレーのニットも、この組み合わせなら自分に似合う気がすると新発見。

スリットが入ったニットには試着したボトム以外に何が合うか相談すると、様々な答えが返ってきて参考になった

 一通りのコーディネートを着て、レポートのための写真を撮り、終了。手持ちの服とどんな風に合わせたら良いかも教えてもらった。

リポート用に試着した姿を撮影
サービス終了後のレポート用に着た服のスタイリングや価格を撮影する菊地さん

 ファッション好きな人は、凝り固まった好みだけではなく、新しい一面を見つけるきっかけになるだろう。ファッションに興味がない人、苦手な人はプロのスタイリストに洋服を選んでもらうことが自信にもつながる。ファッションを好きになるきっかけにもなりそうだ。

(繊研新聞本紙19年11月29日付)



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