EU 工芸・工業製品の産地保護制度を始動 テキスタイルやレース、靴も対象

2026/05/19 10:59 更新NEW!


リモージュ「ベルナルド」のアトリエで

 EU(欧州連合)が工芸・工業製品の産地そのものを知的財産として保護する新制度を本格始動した。フランス中部リモージュの磁器が、工芸・工業製品を対象にした地理的表示(GI)として初めてEU登録され、フランスで先行してきた産地保護制度が欧州全域へと広がった。模倣品対策や越境EC監視を強化するEUが、「どこで、誰が、どう作ったか」という製造の由来そのものを競争力として守り、伝統産業のサヴォワールフェール(匠の技)を制度的に保護する段階に入った。

 今回登録されたリモージュ磁器は、フランスが16年に導入した工芸・工業製品向けGI制度の象徴的存在だった。この制度はフランス国立工業所有権庁(INPI)が所管し、農産品やワインに限られていた地理的表示を工芸・工業製品へ広げたもの。EUは23年、この枠組みを域内制度として法制化し、欧州連合知的財産庁(EUIPO)が25年末から申請受け付けを開始。リモージュはその第1号となった。

 認定要件は厳格だ。リモージュの仕様書では、成形から焼成、装飾まで全工程をオートビエンヌ県内で完結することが条件で、製造工程そのものの所在地が審査対象となる。このため、食器装飾を同地で手掛ける「エルメス」は、現地で製造まで行っていないため同GIには加わっていない。

 フランスではすでにオービュッソンのタピスリーやシャラントスリッパなど26品目が国内GIとして登録されている。EUIPOはGI対象例としてテキスタイルやレース、靴、ガラスなども明示しており、今後は繊維製品でも産地そのものを知財として保護する動きが欧州全域に広がる見通しだ。

(パリ=松井孝予通信員)



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