【パリ=松井孝予通信員】米化粧品大手のエスティ・ローダーと、スペインの香水・ラグジュアリーファッション企業プーチが、事業統合に向けた協議を進めている。実現すれば売上高約170億ユーロ規模の新たな勢力が誕生する。
両社は事業領域で補完関係にある。プーチは香水を主軸に、「ジャンポール・ゴルチエ」や「キャロライナ・ヘレラ」などのファッションブランドを育てながら事業を拡大してきた。25年は売上高約50億ユーロ、純利益約6億ユーロと増収増益を維持した。
一方、エスティ・ローダーはスキンケアを中核とするが、直近3年間は減収が続き、時価総額も5年前の約1100億ドル規模から足元では約300億ドル前後まで縮小。最大7000人の削減を含む構造改革を進めている。香水分野での基盤強化を急ぐエスティ・ローダーと、上場を経て体制の転換と規模の確保を進めるプーチという構図が、両社の接近につながっている。
また統合の背景には、市場環境の変化もある。世界の美容市場は拡大が続く一方で、企業間の競争が強まり、ブランドや流通を含めた総合力が問われている。中でも香水は、若年層を中心に複数の香りを使い分ける消費が広がり、潜在性の高い分野として各社が注力する領域だ。仏ロレアルは昨年、「グッチ」や「バレンシアガ」を擁する仏ケリングの美容部門を取り込み、ブランド拡充と生産体制の整備を進めている。ラグジュアリーファッションと香水を軸とした競争は一段と活発化している。