「あなただけのオリジナルの美しさ、あなただけの世界。それにふさわしいものを身にまとい、表現して生きてほしい」とは、フルオーダーデザイナーのEIKOさん。デザインから縫製まで、その人だけに仕立てる完全オーダーのビスポーク。ジュエリーデザイナーでもあり、服にジュエリーも取り入れている。国内外を対象に製作し、海外でのショーや国内映画の衣装監修など活動が広がっている。国内の職人は減少傾向で、「高品質な商品を作る職人文化が終わらせないためにも、ビスポークは重要」と考えている。
(古川伸広)
無いので自分で作る
「ファッションを学んできたわけでもなく、デザイナー志望でもなかった。既製服では自分らしい、自分が好きなファッションがなかった。じゃ、自分で作ろうとなった」。独学で学び、腕を磨き、納得できる服を徐々に作り上げてきた。
客の魅力を引き出すため、「一人ひとりのお客様を知ることから始まり、会話などからデザインが生まれていく」という。シルクなど高品質素材をベースにレースやビーズなどをあしらい、国内のパタンナーや縫製と協力し至極の一着を創作している。
商品にもよるが、ドレスが100万円など。ビスポークは「価格も高く手間も時間もかかるが、画一的な生産方法では決してできない、一切妥協のない魅力的なものが作り上げられる」とこだわる。
世の中に価値広める
今年3月には、アカデミー賞オスカー授賞式の近隣別会場での上映会「ラグジュアリー・ガラ」で、ファッションショーを開催した。100人規模で海外のセレブなどが集まるパーティーの中、特別な一着を披露しアピールした。
25年には、エンターテインメントなど幅広い事業を手掛ける夫のグッドニー・グドナソンさんによる映画「ミステリアンスポンド」の衣装を監修。昭和初期の茶室や庭園などを背景にした映画で、「エンタメやアートを通して、人生につながる価値観や素晴らしさを伝えていきたい」という。ファッションの創作活動だけではなく、モダンミステリースクールでの講演も行っており、精力的に活動の幅を広げている。いずれは「ハリウッドなどの衣装を手掛けたい」という。