NYコレ、実売期のショーの判断基準に
【ニューヨーク=杉本佳子通信員】ニューヨーク・コレクションで、従来通りの発表スケジュールから抜け出すブランドが増えている。最近は「パブリックスクール」が、メンズとウイメンズの合同コレクションをウイメンズのプレシーズンの6月と12月に見せると発表した。
CFDA(アメリカファッションデザイナーズ協議会)は1月、ニューヨーク・ファッションウイークの目的を査定する責任があるとして、ボストンコンサルティンググループに調査を依頼していた。50件のインタビューを行った結果、「変化の機は熟した」とのコンセンサスが得られたという。つまり、インシーズン(実売期)でコレクションを見せることに同調する傾向が強いことが明らかになった。
現在のシステムが直面している大きな問題として挙げられているのは、
①消費者は必要になってから買うようになり、シーズン初めにデリバリーしたものは値下げしないと売れない可能性が高くなっている
②世界中の人がリアルタイムでショーを見られるようになり、ファストファッションがトレンドを取り入れたものを作る時間もあり、ショーで見せたものが店頭に並ぶ頃には鮮度が薄れて定価で売るのが難しくなっている
③ファッションサイクルの複雑化とプレコレクションの重要性の高まりにより、クリエーティブなプロセスを踏襲することが難しくなっている
――の3点。
ただ、意見はまだ多様で、どうするかはブランドごとに決めることが求められる。CFDAは、「消費者と関連性をもたせることが、ショーに消費者を招待することとは限らない」「インシーズンで見せる場合、伝統的なランウエーショーである必要はない」などと提言している。デザイナーが混乱しやすい状況だけに、CFDAはインシーズンにコレクションを見せるかどうかの判断基準を提案し、デザイナー向けガイドブックをまとめ、 公開している。