バイセルとクラボウがきものをアップサイクル シルク繊維原料に戻し再利用

2022/03/15 06:26 更新


中古きものをアップサイクルした「サイシルク」。再利用したきものの色や金糸、銀糸も新しい素材に生かされる

 きものやブランド品などのリユースサービスを提供するバイセルテクノロジーズ(バイセル)とクラボウは3月14日、中古きものをシルク繊維原料に戻し、ニットやデニムなど新しい素材へアップサイクルするきもの再生素材「サイシルク」を共同企画し、「循環型社会の実現を目指す」(両社)ことを発表した。両社の取り組みに賛同したファッションブランド「ミスターイット」は既に22年秋冬コレクションのデニム商品にサイシルクを採用したという。

 サイシルクの生産プロセスは、まずバイセルが日々買い取りをしている中古きもののなかから、着用できなくなったシルク100%のきものを色柄、金糸、銀糸の有無などの条件別により分け、原料としてクラボウへ供給する。クラボウは回収された中古きものを同社のアップサイクルの仕組み「ループラス」で開繊、反毛し、ほかの繊維原料とも複合しながら紡績し、生地にする。

 サイシルクの特徴は、きものの色や金糸、銀糸も生かすため、きらきらとした素材にも仕上がる。オーガニックコットンやセルロース繊維といった環境負荷の低い天然由来の原料も複合することで、「サステイナブル(持続可能)な素材開発も可能」(クラボウ)と強調する。

 バイセルは日本全国で年間100万枚以上のきものを買い取り、そのきものを必要とする人に届けるリユースサービスを提供している。着用できなくなったきものは「リメイク用の生地として国内外に販売し、有効活用してきた」という。とはいえ、「年々、買い取り量が増えているほか、コロナ禍で海外向けの販売が難しい」として、新しい有効活用の方法を検討してきた。

 両社は今後、「サイシルクをアパレルや繊維業界にとどまらず、広く認知させたい」考え。その一環でバイセルは店頭でサイシルクを使ったノベルティーの提供を検討中。クラボウはサイシルクのバリエーションを拡充し、販売の拡大に力を入れる。

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