パタンナーとして15年の経験を持つ池田友彦は、25年秋冬向けで「べメルクング」を立ち上げた。「衣服のパターンの構造、機能性を再解釈して作業的にデザインしていく」と言い、物作りの過程に重きを置く。最初のコレクションは黒と白のTシャツを材料にして、テーラーリングの構造を融合した。
「アイテムの概念や形式にとらわれず、身の回りにあるものを生かし、服の形として発展させていきたい」と池田は話す。Tシャツをベースに左前身頃をスタンドカラーのテーラード仕様にしたジャケットは、Tシャツの右袖の前にもう一つの袖が仮縫いされ、袖を通す場所は一つに限らない。複数の視点から見て再構築するキュービスムの絵のように、異なるパターンをドッキングさせる。
Tシャツのリブ襟をボトムのポケットの口にするなど、解体したパーツもディテールに生かす。シルバー色のチェーンを安全ピンでつないだアクセサリーも作った。
池田は昨年4月まで、コムデギャルソンで「コムデギャルソン・オムプリュス」などのパタンナーを8年務めて独立。「自分の手を使って、今のファッション、服の作り方、あり方に一石を投じたかった」という。