バルミューダ デザインと技術でヒットを生む 来春、NYに営業拠点

2024/12/23 10:59 更新NEW!


「バルミューダ・ザ・プレートプロ」

 バルミューダ(東京、寺尾玄社長)が昨年10月に発売したステンレス製ホットプレート「バルミューダ・ザ・プレートプロ」は1年間で4万5000台を出荷するヒット商品となった。

 ホットプレートとしては高額な4万4550円ながら家庭でライブキッチンを体験できる提案が消費者の支持を得た。同社は自らを「デザインとエンジニアリングの会社」とする。

 03年の創業以来、自由な発想で体験価値にこだわった製品を送り出してきた。10年に発売した扇風機「グリーンファン」は東日本大震災による電力不足不安から家電量販店の扇風機売り上げが急伸した中で、「これまでになかった風の流れと柔らかさを生み出す」と注目を集めた。15年に発売した「バルミューダ・ザ・トースター」は水を使うという画期的な技術で大ヒットした。21年には外資系ホテルに勤めていたシェフが開発チームに加わったことで「キッチン家電開発に不可欠な調理や味に対する知見が飛躍的に向上した」という。ホットプレートはまさにシェフの知見と経験から生まれた製品となった。

 使う喜びと体験に価値を持たせるため、21年に旗艦店「バルミューダザ・ストア青山」をオープン。2階にデモンストレーションや試食体験ができるスペースを設けた。ユーザーが体験し、製品から生まれる料理のおいしさを体感することができる。新製品の発表やイベントを多数開催したことで今年11月の旗艦店来店客数は「前年比110%」と好調だ。

バルミューダザ・ストア青山

 同社の24年12月期売り上げは前期比1.4%増の132億円、キッチン関連は9.4%増の101億5300万円を見込む。

 キッチン家電のリモデルや新製品開発に注力する一方で、今後の成長に向けて海外でのブランド展開にも積極的だ。海外は現在、11の国と地域で、約42億円(23年12月期)を出荷している。売り上げ全体の32.3%(同)を占めるが、「海外比率を27年まで50%まで拡大する」という目標を掲げる。

 今後、特に市場拡大を狙うのが北米だ。海外に占める北米の割合は23年で15%だが、市場規模を考えれば大きく成長する可能性はある。ロサンゼルスに加えて、来春にはニューヨーク(NY)に営業の拠点を設け、「店頭でのプロモーションを本格化させ、製品体験の場を拡大」する。オンラインストアでの販売をメインに、専門店などBtoB(企業間取引)も視野に入れる。

(村上洋一)



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