「ゼロ円服、始めました」――OEM(相手先ブランドによる生産)などファッション関連事業を行うアジアアロワナ(沖縄県宜野湾市、山内真・平良修社長)は、洋服を広告媒体にし、一般消費者には無料で提供するサービスを始めた。広告売り上げで成り立つフリーペーパーのようなビジネスモデルだが、ノベルティーの類の商品ではなく、ファッション性に気を配ったのが売り。広告料金は全額製造費に充てるため同社のもうけはないが、「会員登録時に訪問するECサイトの知名度が上がればいい」(平良社長)と考えた。
これまで自社ブランドの企画販売やOEMを手掛けてきたが、売り先が細るなど先行きが不透明だったため、新たな事業を模索していた。昨年、購入希望者が増えれば販売価格が下がる〝ギャザリング〟の仕組みを取り入れた共同購入のECサイト「スケールズ」をオープンした。サイトに知名度がないため、「ゼロ円服」でサイトへの流入を促す狙い。
現在、コーヒー専門店や自家製ハム・ソーセージ専門店など沖縄の4事業者が参加し、靴下を製造している。例えば広告予算が5万円の場合、5色使いのソックスで100枚用意できるという。
広告主は、贈り先の消費者の個人情報が手に入るほか、ターゲットに即した商品企画を同社に依頼できる。従来の広告アプローチとは異なり話題になる可能性もあり、数量限定のためレアさが価値になる可能性もある。
18日にオープンしたサイトは広告の周知を優先するため、申し込めば先着順でもらえる。今後はSNSでの拡散や意見などの記載を条件とすることも検討している。1ID当たり1枚だけ申し込みができる。商品は広告主が直接送る。スタートは全て沖縄の事業者だったが、県外事業者からの受注も狙う。
