都内で20~21年秋冬向けのプレゼンテーションを行った「アキコアオキ」(青木明子)は、男性らしさと女性らしさをクロスオーバーさせながら、凛々(りり)しさを感じさせるエレガンスを見せた。
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「女性的な装いに男性が憧れることがあれば、その逆もある。ジェンダーレスではなく、『自分もこうなりたい』の延長でもっと自由に表現しても良いのでは」と青木。男性2人を交えた9人のモデルが、レディスコレクションを着て登場した。
女性のモデルが着るボリュームスリーブのブルゾンにはレザーのように鈍く光る素材を使い、首元にベルトのディテールが入る。襟を立てて羽織るステンカラーのコートは、ロング丈でメンズのエレガンスを感じさせつつ、袖に膨らみを持たせたり、サイドをリボンで留めたり。品のある女性らしさを失わず、メンズの着こなしの格好良さを違和感なく組み込んだ。そのなかで、レッグオブマトンスリーブのブラウスを着るモデルにも力強さが浮き立って見える。
男性モデルが着用するコートは、ラグラン袖でレザーを切り替えた五分丈のパフスリーブになり、背中は青木が得意とするカットアウトのディテール。タフでしなやかさも持ち合わせるバランスをクリーンに表現した。
一部のショーピースには、古着のリメイクを入れた。「時間が経過したものに手を加え、違ったものを作り出す面白さがある。サステイナブル(持続可能な)とは言えないが、消費するだけの空しさに陥らない、心の健全さを大事にしたい」と青木。
(須田渉美、写真=加茂ヒロユキ)