イオンリテール、専門職人事制度導入

2015/05/26 06:27 更新


 イオンリテールは、短大・専門学校卒業者で構成する地域限定社員に、専門職人事制度を導入する。大学卒の社員は転勤や異動経歴が昇格の要素になるが、同じ場所に長く勤務するショップの店長などには、そうした考課はなかった。スキルを評価する制度に改め、販売職のモラールアップにつなげる。また、入社後に希望に応じてアパレルショップなどへ配置するまでの期間を、従来よりも短くする。上期中にも詳細を決めて、16年3月の卒業見込み・既卒者から適用する方針だ。

 イオンリテールは、GMS(総合小売業)改革を進めており、あらゆる商品領域で専門店化を志向。自転車やワイン、雑貨など基盤が固まったものから、別会社化している。こうして分離・独立した専門店企業は、事業に適した人材を独自に採用しているが、本体内では難しかった。

 これまでは地域限定社員でもGMS全体を掌握するマネジメント能力を高めるため、広範囲の業務を経験した後にしか希望部署に配属されなかった。そのため特定分野を目指す人材の採用が難しく、「とりわけファッション系の人材は採れていなかった」という。

 今後は、希望部署への配属までの期間を早めることで、人材の確保を目指す。また、既存のパートタイマーからの多数の〝転進〟を想定。子育てを終えた女性など、過去の経験を生かしての応募に期待している。経験者をショップの店長に起用する際の処遇など、細部を詰める。

 同社内にはパンドラやダブルフォーカス、セルフ・サービスなどの事業部があり、いずれも独立予備軍と言われている。それには外部への出店など、事業拡大が不可欠で、ファッション系の人材確保が急務になっていた。

 イオンは、ホールディングス(持ち株会社)に権限が集中し過ぎたとの反省から、基幹事業会社のイオンリテールに権限を再委譲し、GMS再生を目指している。商品、マーケティング、広報機能などのほか、人事・採用についても裁量権を地域のカンパニー(支社)段階にまで委ねることにした。



この記事に関連する記事