セレクトショップ「パリゴ」を運営するアクセ(広島県尾道市)は3月27日、今春立ち上げたデニム製品のブランド「JAPAN DENIM」(ジャパンデニム)のデビューイベントショップを東京・ギンザシックスで始めた。
デニム産業の事業者とブランドを結び、産地を活性化させる意欲的な取り組みで、当日は消費者とともにデニム事業者、デザイナー、広島県福山市など行政関係者が多数集まり熱気に包まれた。
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ジャパンデニムは「備中備後ジャパンデニムプロジェクト」の一環となる事業。デニム産地の近くに本社を置き、東京にも店舗を持つアクセの高垣道夫専務が中心となって進めてきた。この呼び掛け11ブランド、織布、染色、縫製、加工などデニム事業者25社が応じた。各ブランドが1、2アイテムをデザインし、デニム事業者が製造し協業商品に仕上げている。
イベント初日は夕方までに50万円を売り上げるなど、出足は好調で、外国人の購入も多かった。各商品のタグについているQRコードを読み取り、ブランドの背景などを知ろうとする消費者の姿も目立った。行政として支援している福山市の枝廣直幹市長は「これまでナンバーワンのデニム産地でありながら、発信しきれていなかった。今回、志の高い事業者が集まってブランドをつくり、世界に発信することは心強い」と語った。

参加したデニム事業者のうち、一貫生産を特徴とする大江被服の大江淳子社長は「デザイナーと直接話をしながら作るのが新鮮だった。アクセの本気さが強く、社長直轄のプロジェクトにした。みんながポジティブなのでやりごたえがある」と評価した。染色・洗い加工、四川の田中泰行さんは「デニムのお祭り的取り組みは過去いろいろあったが、みな立ち消えになっている。今回はアクセの熱い思いが伝わってきて、意気込みが違うと感じた。(自分が経験した)30年分の力を発揮したい」と話した。
「エズミ」のデザイナー、江角泰俊さんは「私が広島出身ということもあり、(昨年の西日本豪雨で被災した)企業の復興という思いも込めて取り組んだ。日本の物作り企業に発注することで潤うようになれば」と語った。
イベントは4月30日まで続く。今後、パリゴのショップやECで販売し、各ブランドも卸売りする。来年には欧州の展示会出展も計画している。参加するデニム事業者、ブランドをさらに増やし、規模を大きくして産地活性化につなげる考えだ。
