【トップインタビュー】豊島株式会社 代表取締役社長 豊島半七氏(PR)

2024/03/07 00:00 更新


 綿の仲買いから始まった豊島は、原料・素材から製品まで時代の変化に応じて事業領域を拡大し、これまでの枠にとらわれない商材・サービスまで総合的にライフスタイルを提案する商社として発展してきた。消費者ニーズの多様化など取り巻く環境の変化をいち早くチャンスと捉え、新しい素材、製品、ライフスタイル関連商品の企画提案力を磨いている。多様化・個性化する消費者ニーズにさらに応えていくため、スタートアップ企業との素材などの共同研究開発や、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用したサービス提案など次なる一歩を踏み出している。

枠にとらわれない商品提案 

―扱い商材の変化は。

 当社はお客様のニーズに合わせ、繊維・アパレル分野にとどまらないアイテムを展開し、テクノロジーを活用したサービスの提供なども行ってきました。今や売り場はアパレルだけでなく雑貨・コスメ・食品などが並んでいます。分野にとらわれない商品を扱ううちに、既存のお客様に加えて新たなお客様との取引が増えています。

 5年後はさらに世の中が変化しているでしょう。今後も時代から求められる企業であり続けるために、豊かで快適な社会の実現に向けたライフスタイルを提案していきます。そのために「MY WILL(マイウィル)」を企業ビジョンとして宣言しました。地球環境に配慮した素材作り、機能素材の開発、テクノロジーの活用を通して持続可能な未来を提案していく当社の姿勢を表すステートメントです。

 サステイナビリティーの取り組みとして、05年からオーガニックコットン普及プロジェクト「オーガビッツ」を続けてきました。その後、トレーサビリティーも大事だと考え、農場と紡績工場の特定ができるトレーサブルなトルコ産のオーガニックコットン「トゥルーコットン」などの取り組みを開始。今は循環システムを整え、不要な繊維製品を素材ごとに回収・再生する「ワメグリ」や、ポリエステル、ナイロン、アクリルの3素材を再活用し、二酸化炭素排出量の軽減など環境負荷を低減するプロジェクト「テックリサイク」などを構築しています。

「アップドリフト」など様々な循環型プロジェクトで繊維原料に再資源化

長年の知見を活かし新素材の開発

―特に注力している素材は。

 24年秋冬総合展では、共同研究契約を結ぶバイオベンチャーのスパイバー(山形県鶴岡市)の人工構造たんぱく質繊維「ブリュード・プロテイン」を使った糸・生地・製品を訴求しました。植物由来のバイオマスを原材料に使い、微生物による発酵で作られた次世代の繊維です。既存の動物繊維に比べ製造段階での温室効果ガスの排出量を大幅に減らせるうえ、土地や水の使用量削減が見込まれており、生分解性を有します。

 物性などの課題を理論的に解明し対応するのにまだまだ時間はかかりますが、当社は35年ほど前から再生セルロース繊維「テンセル」を取り扱うなど、今まで築き上げた歴史があります。ブリュード・プロテインは可能性のある素材として期待しています。

―新たな仕掛けは。

 新しい取り組みとしては、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)で国内外のメーカーやテックベンチャーなどのスタートアップ企業と共に商品開発を進めています。時代から求められる商品やデジタルプラットフォームなどのサービスを提供するため、さらにDXを強化していきます。

スパイバーの「ブリュード・プロテイン」を使った糸・生地・製品

日々の進化に合わせてアップデート

―強化している分野は。

 DX推進室とデザイン企画室で生成AI(人工知能)を活用したクリエイションに注力しています。

 DXは1年後の変化が大きい分野。昨年「チャットGPT」など生成AIが導入され、今では若い人は当たり前のように使うほど普及しています。今後も新しい技術がますます出てくるでしょう。そのため一つ開発して終わりではなく、日々の進化に合わせてバージョンアップさせていくことがDXなのでしょう。

 海外事業の強化は粘り強く続けていかなければいけないと考えます。欧州の素材展への出展や、今期発足した海外販売推進室や素材部門の担当者による海外リサーチなど強化しています。ある担当者は毎月インドへ視察する中で、様々な分野の商材をお客様に紹介し輸入を増やしています。そのほか、当社の現地法人があるインドネシアやベトナムなどを中心とし周辺諸国でも開拓を進めています。

5万点の柄を提案する「バーチャル・スタンダードAIパターン」

社員の挑戦を支える企業へ

―人材の考え方は。

 企業の成長のためには、新しいことに挑戦しトライアンドエラーを繰り返すことが大切だと考えています。保温機能や疲労回復効果のある素材が評価され、売り上げにつながったなどの事例がいくつも有ります。社員には失敗しても良いので積極的に新しいことへ挑戦してほしいです。

 有志の社員で始めたフェムケアブランド「ホガラ」は東京、名古屋の社員が一つのチームとして頑張っています。当社の一つの経済単位になるまで大きくなるよう応援したい。また、他の社員の新しいアイデアも大切にし、全ての社員のアイデアを実現につなげたいです。

 若い人材が自由に提案し活躍できるような風土が大切です。社員一人ひとり、全く違う環境で育った人同士で仕事をしている、という認識・理解を持ったうえで共に仕事をしていきたい。

フェムケアブランド「ホガラ」は有志の社員で始まった

―目指す企業像は。

 当社は綿花の仲買いから始まった商社です。原料・素材から製品まで対応していることで信頼を築き、お客様に安心していただいています。それも責任感が強い社員のおかげ。一人ひとりの社員の頑張りの結果が今の豊島です。今では素材部門、製品部門が共に開発し、社内でお客様の情報も共有するようになり、良い循環になっています。

 今後も現状に満足せず、新しいことに挑戦する精神を社員に受け継いでもらいながら、5年後を見据えた商品提案、労働環境の改善や企業経営を進めていきます。


【profile】1955年4月1日生まれ、77年慶応義塾大学経済学部卒、同年東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行、85年豊島入社、90年取締役、94年常務取締役、99年専務取締役、02年から代表取締役社長



企画・制作=繊研新聞社業務局



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