【トップインタビュー】東海染工株式会社 代表取締役社長 鷲裕一氏(PR)

2023/07/07 00:00 更新



 「繊維のキーインダストリー」とも称される染色加工。生地に色だけでなく風合いや機能も付与し、形を整える。小ロット化や各種燃料コストの上昇など取り巻く環境は厳しいが、高品質な日本の生地を支える重要な工程だ。更なる短納期小ロット化やサステイナブル(持続可能性)など業界が大きく変化する中、染色加工大手の東海染工はそうした時代の流れを「開発の後押しにつながる」と考え、技術に磨きをかけている。

—コロナ禍を経て、物作りのサイクルや在り方が変わりつつあります。

アパレルがより引き付けて作るようになってきましたね。サステイナブルの観点からも必要なものを必要な分だけ作る流れが加速しており、私たちはそれに対応できるような製造業のあり方というのを勉強している最中です。小ロット、短納期となると、何度も条件を変えて作るためコストアップにもつながります。ですが、それでもロスを作らないやり方を模索しています。

最近ではエネルギー価格が1.5倍、薬剤はものによって2~3倍と上昇、顧客に理解は頂いていますが、転嫁しきれていないのが状況です。品質を維持しつつ薬剤使用量の削減などコストダウンに取り組んでいますが、まだまだ甘かったと気づかされることも多いですね。

工場では通常のガスボイラーよりも二酸化炭素排出が少ないバイオマスボイラーを採用していますが、木くずも有限の資源。例えば1メートル当たりの電気やガスの使用量について細かくデータを取得し、どこに課題があるかをしっかり調べています。なるべくエネルギーを無駄にしないように配管の保温も徹底。薬品も既に回収していますが、配管やタンクの中に残った薬品を一滴残らず回収するにはどうしたらいいかまで考えて改善につなげています。

二酸化炭素排出量の削減も大きなテーマ。2050年までの排出量実質ゼロという政府目標も後押しです。減らすのではなく、ゼロにするためにどうしたらいいのか。それを考える土壌ができてきたと思います。

ロータリー捺染

—時代や顧客が求めるものも変化しています。

最近では二酸化炭素の排出量が少ない工程で加工して欲しいという顧客が出てきました。より環境に優しい方を選ぶという流れは確実に強まっており、バイオマスボイラーや薬品の回収・再利用といった取り組みをもっとアピールしていければと思います。

また、多様性への関心も高まっていますね。弊社はインドネシアに染色子会社TTIがあることもあり、浜松事業所ではインドネシアの方が実習生も含め30人ほど働いています。食堂ではハラル対応の食事を用意したり、祈祷室を設けたりと、民族、宗教が異なっていても、より働きやすい環境を整備しています。日本で技術を学び帰国後にTTIで働きたいと言って下さる従業員の方がいるのは嬉しいですね。

—今後の取り組みは

染色加工では高い品質のものをいかに無駄なくつくるか。その技術をしっかりと磨いていきたいですね。一方で、保育サービスやリネンサプライといった新たな市場への挑戦も続けていきます。保育サービス子会社のトットメイトでは、女性が活躍されているケースが多く、そうした女性ならではの視点を全社にも取り入れていきます。

少子化や技術継承などの課題もありますが、ゼロから作る面白さは製造業ならでは。物作りの楽しさをしっかりアピールし、品質の高い日本の染色技術をつないでいければと思います。


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