【トップインタビュー】田村駒株式会社 代表取締役社長 堀清人氏(PR)

2023/10/11 00:00 更新



 田村駒は6年振りにトップ交代した。植木博行氏が代表取締役会長に就き、堀清人氏が代表取締役社長に就任した。来年3月に創業130年を迎える同社。「軸である繊維事業の周りにいくつも柱を作る」とこの間、住宅関連や生活資材などでM&A(企業の合併・買収)を進めた。堀清人社長に目指したい企業像や田村駒の強み、事業の方向性などを聞いた。

複数の柱でバランス良く成長

―社長に就任して3カ月が経った。

 130年の歴史がある当社は多くの取引先と長く深いお付き合いをさせていただいています。責任の重さをヒシヒシと感じます。社長就任にあたり、田村駒の歴史を振り返りました。創業当初からフロンティアスピリッツを持って、先人たちはよく海外に出ていました。繊維以外でも様々な商材を輸出するなど為替の変動に素早く対応し、輸出入のバランスを取っていました。

 輸出、3国間貿易含め海外市場をもっと開拓するなど、フロンティアスピリッツで新しいことに挑戦します。

―挑戦には失敗がつきものだが。

 失敗を恐れていては挑戦できません。外部環境の変化は激しく、そのスピードは加速しています。変化に素早く対応し、挑戦を続けなければすぐに遅れる。顧客に半歩先、一歩先を提案するにはトライ&エラーを繰り返し、挑戦し続けるしかありません。

 大きな変化の中では、何が追い風で何が逆風になるかわかりません。コロナ下で各事業、良い時もあれば苦戦する局面もありました。衣料品も今は悪くありませんがこの先は不透明。コア事業である繊維を中心にいくつもの柱を持ち、バランス良く成長することが大切です。

―ここ数年、積極的に企業買収している。

 生産背景を増やし、物作りから携わることを重視しています。中国で顕著ですが、サプライチェーンが長い繊維でもECの広がりで店頭と生産現場が直結し、その間に介在していた企業や問屋が淘汰されています。サプライチェーンから外されないためには物作りの機能を持つことが必要。モノの売り買いにとどまらず、差異化できますし、入る情報を生かせば商売の機会が広がります。

 先日まで社長を務めていた建築関連の田村駒エンジニアリングは、21年に鉄骨加工の黒田工業、今年2月には小副川建設を子会社化しました。メーンの住宅関連は人口減でいずれ厳しくなる。ビルや商業施設といった非住宅分野を伸ばそうとその鉄骨を作る企業を買収しました。鉄骨の受注はビル建設に関しての有益な情報が早い段階で入り、完成までの過程で様々なニーズに対応して多くの商材を売り込むチャンスが生まれます。点ではなく、いかに面で取るか、繊維で培ってきたノウハウです。

アセアン拠点の拡充

―アパレルの生産シフトが進んできた。

 19年にバングラデシュ・ダッカに駐在員事務所を設立し、カットソー・ニット生産が増えています。生産枚数ではベトナムを上回ってきました。ミャンマー拠点は一旦閉め減産となっていますが、カンボジアにおいて減産分を補い、布帛アイテムはトータルで生産背景を拡大させております。

 東南アジアではアパレルに限らず、家電関連でも生産拠点を充実します。タイでは家電関連の組み立てが増え、ベトナムでも生産と市場性を考え、グループ会社の山城工業が家電関連で現地法人を設立する予定です。インドネシアでもアパレル生産が増えており、家電関連も含めて事務所並びに現地法人の必要性を検討します。

 本来なら生地も東南アジアで調達したいのですが、バリエーションの広さや品質、価格面で中国は外せません。まだ詳しく話せませんが、中国生地生産をさらに強化するための手立てを準備しています。

 この間、アパレルOEM(相手先ブランドによる生産)など川下に近い部分は充実しましたが原料、生地の開発・調達はより強化が必要です。今できていない部分に伸び代があり、成長できる余地があります。物作り機能を強化するのはそこに伸び代があるから。小売りはDNAが異なるため、川上の方に成長の余地を感じます。

 繊維もそうですが住宅、家電関連でも日本有数の企業と取引があり、信頼していただいています。田村駒は派手さはないかもしれませんが、今でいうと物作り機能などしっかりとした仕組み、システムで事業を作り上げ、「噛めば噛むほど味が出る」企業です。それが取引先から信頼されて経営基盤が充実し、収益力の高まりにつながってきたのだと思います。

―足元の事業状況は。

 上期は売り上げは前年並みで推移し、利益が大きく伸びています。衣料品は追加オーダーが入り、まずまずです。

 環境配慮素材の展開などOEMで差別化するためにも原材料、テキスタイルの強化がテーマの一つ。環境配慮素材では、リサイクルポリエステル「C2C」などでブランド化を進め、新たな生地開発を進めています。

 衣料品取引先の2極化が進んでいます。大手・有力顧客との取り組みをさらに深めながら、一方で規模は小さいながらも急成長する企業をつかまえることの重要性が増しています。小さい企業のお役に立てる策を練り、新たなことを始める予定です。

環境配慮素材の代表格であるリサイクルポリエステル「C2C」。Comfeel、POLICOTTなど生地ブランドとのコラボも拡大中

できていない=成長の余地

―来期から新中期経営計画が始まる。

 植木博行会長が現中計で物作りの強化、基盤作りをずいぶんと進めてくれました。新中計の中身は策定中ですが、海外向けを増やすことが課題のひとつです。生活関連資材では、為替の追い風もあって三国間貿易が伸び、収益が増えています。

 アパレル、テキスタイル、繊維資材でも輸出や「外・外」を増やしたい。アパレルや生地などではM&A(企業の合併・買収)などが有効かもしれませんし、繊維資材の方が輸出ニーズがあるかもしれません。いろいろとネタを探しています。

―成長の鍵は何か。

 情報の共有です。繊維、家電、住宅など各事業、様々なグループ会社など全体を見渡せば、できていない部分=成長の余地がたくさんあるはず。たとえば田村駒エンジニアリングはリフォーム、内装も手掛けており、繊維を媒介にアパレル小売りとつなぐことができます。グループで様々な仕事があり、それを共有するだけでもチャンスが見つかり、相乗効果が見込めます。

 人材育成も大切です。私はありがたいことにアパレル営業、経営企画室、田村駒エンジニアリング社長など様々な経験を積ませてもらいました。だからこそ見えることがあります。仕事が忙しい時に研修が重なり、面倒に思った時期もありましたがそれが役立っています。コロナ禍で止まっていた海外研修を再開し、今後はマネージャークラスの研修に力を入れます。

 今ある課題をどうすれば解決できるか。いつも物事や問題の本質を見極め、そこに手を打つことで解決するように心がけてきました。トライ&エラーでたとえ失敗したとしてもなぜ失敗したのか、どうすれば良かったのかを反省し、次につなげればその経験は無駄にはなりません。そうした考えでフロンティアスピリッツを大事にし、新しいことに挑戦し続ける会社にします。

田村駒の登録商標「ビリケン」。2025年に開催予定の大阪・関西万博に向けて、ビリケンさんが大阪を代表するアイコンとなるプロジェクトを進める
【Profile】関西学院大学商学部卒、85年田村駒入社、16年取締役、21年常務取締役、23年6月代表取締役社長就任、兵庫県出身61歳。


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