【トップインタビュー】蝶理 先濵一夫社長

2018/04/27 03:59 更新




 繊維と化学品・機械の専門商社、蝶理が「新たなステージ」に向けて前進している。軸となるのは機能の高さと専門性を強みにした「事業のグローバル展開」(先濵一夫社長)。業績は好調で「この間打ってきた様々な手が数字に表れてきた」と言う。17年度から新中期経営計画「Chori Innovation Plan 2019」がスタートしている。名称にイノベーション=「改革」「変革」を取り入れ、「グローバルに進化、変化し続ける企業集団」をめざす。

“作り場”に投資し、“出口”を増やす

―世界戦略が成長のカギになりそうですね。

 日本は今が一番いい状態、これ以上は良くはならないと見ています。人口が減り、若い人の数も減る。繊維、ファッション業界は飽和状態となり、蝶理の繊維事業も自己変革しないと後退することは目に見えています。繊維事業の06年度売り上げは1428億円、全社売り上げに占めるシェアは64%ありました。ところが16年度の売上高は1110億円。10年で318億円減り、全社売り上げに占めるシェアも41%になりました。一方で利益は伸びています。強みを持つ合繊素材を生かした糸、生地を中心にグローバル展開を進めた結果です。国内は厳しくても、海外で稼ぐ。事業の中身を変えることで利益は増やせるという証です。

 製品事業も頑張っています。これまでは日本が唯一の出口でしたがそれでは厳しい。グローバルSPA(製造小売業)やスポーツ大手と取り組むことで売り先を世界に広げます。その準備を着々と進めているところです。その時に欠かせないのが優良な作り場です。ベトナム、インドネシアや中国では最新設備を導入し、省力化やQRに対応できるものにします。事業投資により新会社を作るとか、既存工場に専用ラインを設けるケースもあるでしょう。

 強みを持つ合繊の糸、生地に、縫製を加えた一貫体制を作り、グローバルに攻めていきます。北陸企業との関係の深さは他社にまねのできないものです。独自の技術力、開発力を背景にファッション商材も加えることで事業の幅を広げます。

蝶理が旗振り役となり第2回北陸ヤーンフェアを開催

繊維と化学品・機械の両輪で

―繊維と化学品・機械の事業バランスをどう考えますか。

 基幹事業の繊維と、収益事業としての化学品が両輪となってバランスが取れます。

 化学品事業は好調です。国内はミヤコ化学、新たにM&Aを実行した小桜商会で事業基盤を作り、一方海外では事業投資で主体性のある商売を増やしていきます。世界に36ある拠点を活用して、例えば中国の有力企業の商品を蝶理のネットワークに乗せて販売します。蝶理は、日中国交正常化前の1961年に日中友好商社第一号として指定されました。その頃からお付き合いしている会社が今、非常に元気であったりもします。長い蓄積と実績があり、商材も、有機、無機の化学品や食品添加物など様々です。

 機械事業も好調です。昨年蝶理マシナリーを設立し、本体から事業を移したことで機動性が増しました。中国自動車メーカーとの取り組みも広がっています。中南米での中国車販売が評価され、中東やアフリカ、欧州、東南アジアなど市場は世界に広がっています。今後も連結経営基盤の強化や、M&A(企業の合併・買収)を進めます。

 繊維では台湾やベトナム、インドネシアなどが有機的に連携し、グローバル市場に食い込んでいきます。蝶理香港は4月初めにオフィスを移転しました。これまでの繊維中心の使い方から、世界戦略を進める際に合弁企業を立ち上げるなど香港の使い方や機能は大きく変わっていくでしょう。

蝶理MODAが主催する商談会「Crossing」の会場

社員が財産、「健康経営宣言」を発表

―中期経営計画の2年目がスタートしました。

 中計1年目はこれまでやってきたことが数字になって表れ、非常に順調です。海外事業が特に好調で前年度は過去最高の業績でした。特に、中国事業の伸びが大きかったです。2年目もスムーズに滑り出しています。海外で売るという大きな方向性が形になり、個人の力ではなく、事業本部や部全体で伸ばしています。収益にも結び付いてきたので「新しいステージ」と位置付ける経常利益100億円台が見えてきました。社内の業務改革ではITやIoT(モノのインターネット)技術を積極的に取り入れます。

 グローバル戦略も財産である“人”があってのもの。社員やその家族の健康に配慮するという「健康経営宣言」を2月に発表しました。東京、大阪本社には看護師が常駐する診療所があり、この規模の会社では珍しいとよく驚かれます。

 女性社員の採用や活躍も重要です。新卒の2割以上は女性を採用するとの目標を立て、実際は女性が3、4割を占めています。女性もトレーニーとして海外に派遣しており、今年はベトナムに送り出します。蝶理(中国)商業有限公司の総経理は女性で、3回目の駐在です。これからは海外の企業と同様に女性幹部が当たり前になってくるでしょう。

2018年2月に蝶理・健康宣言を策定


2021年トピックス

中国から世界を見る視点

 16年度70億円だった連結経常利益を22年度ビジョンでは130億円に伸ばす計画です。そのためのカギとなるのが中国。今は東京、大阪が起点ですが、そこに上海が加わってきます。中国市場の成長を取り込むことはもちろん、化学品や機械関連で先行しているように、繊維事業でも中国から世界に売っていくことがもっと進みます。中国から世界を見るという視点が大事になってきます。

 

Profile

(さきはま・かずお)1956年5月2日生まれ、山口県出身。80年 広島大学工学部卒、同年4月 蝶理に入社。96年化成品第1部第4課統轄、

2001年 電子機器材BUゼネラルマネージャー、09年 蝶理( 中国)商業副総経理、10年 執行役員化学品・機械・電子機器材副本部長、

13年 取締役、15年1月代表取締役社長兼社長執行役員CEO(最高経営責任者)&COO(最高執行責任者)に就任。

蝶理株式会社

(繊研新聞本紙4月26日付け)



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