20年春夏パリ・コレクション「ヴァレンティノ」 引き算で際立たせる個性

2019/10/02 06:29 更新


 【パリ=小笠原拓郎、青木規子】20年春夏トレンドは、これまでの装飾を盛り込んだデザインから、引き算でみせるシンプリシティーへと大きく変わるシーズンとなった。何人かのデザイナーがシンプリシティーやピュアネスといった言葉をコレクションのキーワードとして発している。ストリートスタイルからシックでミニマルなラインへと変化しているが、そこにブリーチやカスタマイズのデニムを取り入れるのも目立つ。

(写真=大原広和)

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 デザイナーたちのシンプリシティーやピュアネスといった考え方が広がる20年春夏、ピエールパオロ・ピッチョーリ率いるヴァレンティノは、そうした流れをどう考えているのかと思いながらショーを待つ。すると、そこに登場するのは白いシャツドレスのシリーズ。プリーツ、チュールの切り替え、ギャザードレープ、ボウやフェザー飾り、ラッフルやベアバック。さまざまなテクニックを駆使した白いドレスが次々と現れる。


 白いドレスに続くのは、ジャングルを思わせる植物柄やサルの柄をプリントしたドレス。サルのモチーフはプリントだけでなく、象眼でストレートドレスに描かれるほか、ピアスやネックレスにも使われる。

 いつになくプリミティブな要素を入れた柄が目立つが、一方でヴァレンティノらしい繊細なダブルフェイスのコートやスパンコールドレスももちろんある。レースドレスは、ブラックバイカーズジャケットと合わせてきりりとしたムード。白いドレスのバリエーションもそうだが、コード刺繍で描くフラワー柄のドレスなど、いつもより静かでナチュラルな雰囲気に仕上がった。

 今回のコレクションの背景には「形やボリュームを際立たせるために、あえて行われる引き算、それは純粋でありながらもぜいたく」という考え方がある。まさに装飾過多のデザインではなく引き算で、今の時代のリアルを描いた。

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