【ニューヨーク=五十君花実】18年春夏ニューヨーク・コレクションは、「アルトゥザッラ」「プロエンザ・スクーラー」「ロダルテ」などが発表の場をパリに移したことで、主役不足の感は否めず、過渡期とも呼べる表情を見せている。同時に、トランプ大統領就任であぶり出されたこの国の矛盾や不満と、大量閉店に象徴されるファッション小売りの不振は、デザイナーにも内省を促しているようだ。直接・間接を問わず、そうしたムードがクリエイションに反映されている。
(写真=catwalking.com、ランディ・ブルック)
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16年春夏にデビューしたモンセは、有力ブランドがパリへと旅立ったニューヨークの次代の顔として期待されている。デザイナーのフェルナンド・ガルシアとローラ・キムはオスカー・デ・ラ・レンタ出身で、前季から同ブランドのディレクターも兼任。オスカー仕込みのエレガンスと今のストリート感をミックスしたスタイルは、パリのコシェなどとマインド的にも通じる。
バスケットボールコートで見せた今季は、この間続けている脱構築・再構築の発展形だ。テーラードジャケットやボタンダウンシャツといったベーシックアイテムを解体し、デコルテを強調したトップやボリュームフォルムのドレスに作り変える。
スタジアムジャンパーや背番号入りのタンクトップ、ベースボールシャツなどアメリカンスポーツを思わせる要素に、ジャズエイジ風のフリンジドレス、極めつけは星条旗柄に袖を切り替えたニットトップと、モンセでもアメリカへのオマージュは強い。
春夏というシーズン性やオスカーとの差別化という点からなのか、今季は従来よりもカジュアルなムードが強くなった。日本市場には今季の方がはまりやすい気もするけれど、迫力はやや削がれたかな、という印象。
