16-17秋冬デザイナーコレクションが先週終わりました。「大きな潮目の変化があった」という、弊社のコレクション取材チームの小笠原拓郎編集委員と青木規子記者に帰国直後に話を聞きました。( 小:小笠原拓郎 青:青木規子)
―今シーズンは大きな変化はあったの?
小:あったよ。
―めてみみ(繊研本紙1面コラム)にも書いてたよね。
小:そうね。
―具体的には。
小:世界中で袖が長くなっているわけですよ。
―いきなり、ディテールからいくねえ。
小:いや、ほんと。マーク・ジェイコブスなんかはすごいあった(写真下)。
―長いねえ。
青:セリーヌすら、長い。例えば、これ。
―あ、ほんまや。
青:「エクストリーム(極端な)・シルエット」という一大トレンドが出てきてて、ボリュームがどーんと大きくなっている。そんなフォルムの象徴が袖長なんですよ。
―ボリュームはトレンドとしてすでに出てたでしょ。
青:それが一気に大きな波になっている。
小:手が伸びてる。
―過去20年ぐらいでそんなのあったの。
小:いや、ああいうのはなかったと思うわ。
青:ブルゾンとかシャツとかトレンチとか、みんなが持っているようなベーシックなアイテムのフォルムが変わることで、新しい表情になった。見たことある白シャツなんだけど、袖が長くて今までとは違う。
―それ格好いいの?
小:かっこいいのと、そうでないのがある。ただ、デカくしているだけではだめなんだよね、きっと。
青:シャツとか、ずるずるしている感じだけど、ボトムが細かったり、ハイウエストになっていたりとか、バランスを整えることで今っぽくなる。ステラ・マッカートニー(写真上)とか上手なんじゃないですかね。各デザイナーが大きいシルエットを出しているなかで、「ヴェットモン」が小さいのをみせているんですよ、一方で(写真下)。肩がきゅっと狭くなっているような。これもエクストリーム。ただし、袖は長い。
―バイヤーさんの評価は。
青:聞いた話だと、肩の出し具合も、ずるっと落ちていたり、肩パッドががっつり入っていたら売りづらいけど、バランスを見ながら、ボリュームシルエットは取り入れていきたいと言ってました。あと、長い袖よりも、ふくらんだ袖とかの方が取り入れやすいみたいですね。
小:でも、コレクションのメーンは袖長。袖が膨らんでいるのは前シーズンからあるもん。今シーズンは、肩がびよーん、袖がびよーんみたいなのが圧倒的。
―他にテーマになりそうなものは?
小:装飾過多かな。
―良い意味?悪い意味?
小:良くも悪くも。盛って、盛って、が今シーズンは勢いづいているわけよ。数シーズン前まではミニマルって言葉さえあったわけじゃん。そういう意味では、今シーズンはミニマルはないな。
青:全く正反対にふれましたね。
小:もちろん、リラックスとかエフォートレスはあるんだけど、これがメーントレンドだったシーズンは4、5年あったんだよ。
青:13年春夏とか、ですかね。
小:ほら、ミニマムクチュールは11年とか12年でしょ。
青:ここがスタートですもんね。
小:ミニマムでリラックスしたムードがメーントレンドとして数年あって、今回もエフォートレスなムードのブランドはあるにはあるんだけど、そっちよりも、大きなシルエットや装飾的なものがメーンになっている。流れとしては、完全にこっち。
青:エフォートレスは定着してるって感じですかね。
小:これを得意とするブランドもあるからね。シンプルで上質な「エルメス」みたいなブランドはなくならないけど、こっち(ミニマル、エフォートレス)からこっち(エクストリーム、装飾系)にきてるのは間違いないというのがこのシーズン。
青:装飾過多を引っ張ってるブランドが「グッチ」(写真上)。アレッサンドロ・ミケーレになったことで、急激にこっちの流れが出てきた。彼自身がアンティークの装飾物をつけるのをスタイルを提案していて、女心をくすぐってるわけですよ。みんな、カワイイーと買い求めている。他のデザイナーも注目したりしているので、装飾系がバーっと広がっている。色柄、年代もミックスされていて。ボリュームシルエットが先端とすれば、装飾系がキャッチ―、みたいな感じですかね。 (写真:大原広和)
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