《連載 次代への襷》⑨ ブルークラス (本紙1月30日付け)

2013/06/22 21:12 更新


アパレルや服飾雑貨の製造、古着リメークの3人が協力し、09年にそれぞれの思いを込めて立ち上げたブランド「ザ・ユニオン」。ディレクターを務める牧田耕平さんの実家が経営する鉄工所の2階に、同ブランドを企画・製造するブルークラスのオフィスとアパレル縫製工場がある。12年にミシンを導入し、20代から30代の若者3人が、いきいきとものづくりをする。 ファクトリーを立ち上げた狙いは、企画から生産までブレのないものづくりをすることにある。「ブランドを好きな人が、実際に生産もすることで、外注先で作られた商品とは違うにおいや魅力を伝えたい」と言う。 ミシン6台とアイロンを備え、ここでサンプルはもちろん、シャツや一部パンツまで本生産する。ブランド立ち上げからの協力工場に頼っている技術もあるが、人材を育て「自分たちで生産できる商品をこれからもっと増やしたい」考えだ。 若手育成のスタンスは「自由にものづくりさせること」。「今の若い子はもっと失敗を恐れず、やり切る面白さを味わうべき」という牧田さんの考えから、あえて細かい縛りや制約は設けていない。 いっしょに考えながら仕事を進めるのが日課で、思いついたらすぐにその場でミーティングを開く。新商品のサンプルを囲んで、「なぜこの商品を作ろうと思うのか」「この商品で具体的に何を伝えていくべきなのか」などを、牧田さんは絶えず社員に問いかける。ものづくりだけでなく、ブランドとしてオリジナリティーを追求する姿勢も教えたいからだ。 「日本のものづくりのすごさは、技術だけでなく、どれだけ魂を込められるかというスピリッツの部分にあるのでは」と牧田さん。「簡単に物が作れるイメージが世の中にはあるが、そうはしたくない。絶えず細かいチェックを重ねてこそ、ものづくりの本質が見え、魂の込もった商品が生まれるはず」と声に力が入る。 ミシンを増設する計画がある。「社員は10人ぐらいの規模に増やしたい。人材が育てば、新ブランドの立ち上げなども任せたい」と考える。   【企業メモ】創業=09年にブランドスタート▽所在地=大阪市東住吉区▽業種=アパレルや服飾雑貨の製造卸


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