「ユウショウコバヤシ」24年秋冬 短編ホラー映画で強さ表現

2024/05/07 15:00 更新


 「ユウショウコバヤシ」(小林裕翔)は、24年秋冬向けのプレゼンテーションとして短編映画『SEAM-縫い代』を制作し、東京都新宿区の日本シネアーツの試写室で上映した。

 小林は20年春夏にブランドを立ち上げ、アトリエで制作するクラフトタッチの洋服を一人の物語として組み立てたミニショーで発表してきた。10回目を迎えるなか、「物語をより強く提示していきたい、膨らませて表現したい気持ちが強くなった」という。小林がプロデューサーを担い、これまでのショーを演出していた劇作家で映画監督の岡本昌也氏がディレクターとなって、ジャパニーズゴシックをテーマにしたホラー映画を作った。

ユウショウコバヤシ(映画の一部)

 短編映画は、主人公のあかりが、心神喪失した亜子に取りつかれ、仲良しのミドリ子とともに、洋館に吸い込まれていくストーリー。心霊現象のような描写を交えつつ、3人が衣装として着用する24年秋冬のコレクションを、可愛らしさと不気味なムードで際立たせた。

 ギャザーがたっぷりと入ったデニムのドレスやバギーパンツには、抜染によってクモの巣が繊細に描かれる。レース生地を使ったパフスリーブドレスにはコウモリ柄が舞い上がるように刺繍され、手編みのフーディーには意味深な数字のステッチ刺繍が入る。現代の自分たちに身近なゴシックカルチャーとして短編映画を作る視点が、服作りに具体性を持たせる。柔らかなシルエットは変わらないが、強い存在感のあるワードローブへと進化した。

ユウショウコバヤシ
ユウショウコバヤシ

 同映画は、海外のコンペティションに出した後、単館の映画館で上映したいという。

(須田渉美)



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