バッグ製造販売のヤマニ(東京)は自社ブランドの育成に力を入れている。同社は「マーガレットハウエルアイデア」などのライセンス事業が主軸だが、自社ブランドで卸先の拡大や20~40代の顧客獲得を目指す。老舗バッグメーカーならではの素材選びや物作りの技術も生かしている。
(相神優波)
コロナ下で立ち上げた3ブランドを中長期的に育てる。21年秋冬には「シィメ」と「フランソワ・レニエ」、22年秋冬からは「メゾン・カナウ」を立ち上げた。自社ブランドとセレクトショップで別注商品など、新しい取り組みにも挑戦している。
シィメは20~40代の働く女性がターゲットのブランド。レザーとデボー(フランス)のテキスタイルを使用して、モダンなクラッチバッグやトートバッグを企画している。セレクトショップと別注やスタイリストとの協業商品の企画で、ファッション感度の高い顧客の獲得を狙う。税抜き1万8000~3万4000円。
インテリアのテキスタイルを使用したトートバッグブランド、フランソワ・レニエは男性の新規客獲得も狙う。ソファのテキスタイルを使用したトートバッグが定番アイテムだ。カジュアル過ぎず、幅広いファッションに合うことからじわじわとファンを増やしている。22年10月、阪急メンズ東京に直営店を出店した。ギフト需要も高いという。A4サイズ収納のトートバッグは3万円前後。

メゾン・カナウはオケージョンやビジネスシーンに向けたレザーバッグブランドだ。ボックス型やボストン型のモードなバッグを企画している。革はイタリア産で、国際環境基準団体レザーワーキンググループ認定のタンナーが製作している。5万~8万5000円。
同社のオリジナルブランドの商品構成比はまだ1割程度だ。若手社員の意見も反映しながら、「ライセンス事業では取り切れないブランドのファンを育てたい」としている。
