八木通商はバッグブランドの取り扱いを強めている。J&Mデヴィッドソンが「好調に推移」(八木雄三社長)しているほか、「トラサルディ」のインポートに着手。加えて、イタリアのバッグブランド「ジャンニ・キアリーニ」の独占輸入販売権を取得し、来年から事業をスタートさせることを決めた。バッグ強化の背景には「ウェアに比べて、消費が底堅い」(八木洋三常務)との見方があり、ジャンニ・キアリーニの販売権を取得したことで「バッグに関するブランドポートフォリオが整った」としている。
(稲田拓志)
【関連記事】八木通商「ジャンニ・キアリーニ」日本代理店契約を締結
ジャンニ・キアリーニは74年にスタートしたフィレンツェ発のバッグ、アクセサリーブランド。ブランドコンセプトは「ベーシックなデザインかつ上質なレザーで作り上げる」というもので、豊富なカラーバリエーションもブランドアイデンティティーとなっている。5万円以下のものが中心で、「アクセシブル・ラグジュアリー」としての位置付けだ。
セレクトショップ、百貨店を販路としながら、旗艦店の開設も計画している。今回の独占輸入販売契約はファーストラインとともにセカンドライン「ガム・バイ・ジャンニ・キアリーニ」も対象にしており、ファーストラインのブランディングを先行させた後にセカンドラインを本格化する。
八木通商グループは、「モンクレール」「バブアー」などウェアの好調ブランドを多数抱えるが、徐々にバッグ、アクセサリーなどポートフォリオを拡充してきた。なかでも本国を100%子会社化したJ&Mデヴィッドソンは、感度の高い消費者の支持を集め、人気が急速に高まっている。トラサルディについては、八木通商60%、本国40%の出資比率でジャパン社を設立。バッグ、革小物、一部レザーウェアの取り扱いをスタートした。18年春夏はテストマーケティング的に期間限定店を開設し、18~19年秋冬には東京に路面店をオープンする予定だ。
バッグの価格帯は、J&Mデヴィッドソンは15万円前後、トラサルディは10万円前後が多いが、ジャンニ・キアリーニは5万円以下で「3万~4万円台が中心」。八木通商はこれまで、「高くて良いものの取り扱いが主流だったが、今のご時世、アクセシブル・ラグジュアリーを取り揃えることも大事」と判断した。
ジャンニ・キアリーニの輸入開始は、同社のEC強化の戦略とも合致している。4月にEC事業部を立ち上げ、ブランド横断的にECを統括しているが、「ジャンニ・キアリーニは価格的にECとの親和性が高い」と期待をかけている。

