国内のアパレル市場は低迷しているものの世界的には成長産業、という言辞をあちこちの業界団体の新年のあいさつで聞いた。成長市場だからチャンスもあるという展開だが、気になる事実もある。
中国の昨年1~11月のニット製品の輸出額は前年同期比1.4%増だったが、布帛は2.9%減。米国との貿易摩擦が影響しているのは間違いない。その恩恵を受けたと思われるベトナムは19年の縫製・繊維製品の輸出額が7.6%増となったようだが、伸び率は鈍化している。今年に入り一層の受注不振との情報もある。バングラデシュの19年7~12月の輸出はニットが5.2%減、布帛が7.3%減で衣類合計は6.2%減。前年までの高成長から一転、マイナスが続いている。世界のアパレル生産を支えるトップ3の輸出額が軒並み減速しているのだ。
人口と中間所得層の増加は確かだが、世界的な景気低迷もあるのではないか。アパレルの購入順位が下がっていく日本のような現象が世界中で起きはしないか。不安になる。
(近)