《視点》便利の進化

2019/03/08 06:23 更新


 昨年の秋、70年大阪万博の象徴だった太陽の塔の内部を見学した。鉄製で高さ40メートル余りの生物の進化過程を表した生命の樹は当時に近い形で整えられている。約半世紀ぶりに見て、高度経済成長期で活気にあふれていた時代の記憶を呼び起こした。

 万博では生活を豊かにする夢のアイテムが多く展示された。人体洗濯機は実用化されなかったが、携帯電話は実現し、今では生活に欠かせぬものとなった。さらに進化したスマートフォンは当時の想像力を超えているだろう。生活をより便利にしたいという思いは、多くの人が抱く。理想の実現のために、常識にとらわれない発想の転換が大いに働く例は少なくない。

 日本人には当たり前に思われる現金支払いも、便利さの観点からは必ずしも正しくないのかもしれない。キャッシュレスが当然となっている外国人が押し寄せるであろう25年大阪万博の頃には、インフラ整備が進み、日本人の現金信仰はかなり薄まっているだろう。

(樹)



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