【パリ=松井孝予通信員】ユニクロは22日、フランス北東部グラン・テスト地域圏(旧ロレーヌ地方)モゼール県メッス市に開業した複合商業施設ミューズに、同地域で初の店舗を開設した。初日には約100人が開店を待ち構えた。売り場面積約900平方メートルの規模だが、家族連れのショッピング客を狙い、メンズ、ウィメンズ、キッズのフルラインを揃えた。
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既に出店を果たした仏国内の大都市と違い、人口十数万人の都市メッスではユニクロを知る人は少ない。オープンでは最初の1枚として購入してもらえるよう、メリノセーターをウィメンズ19.9 ユーロ 、メンズ24.9 ユーロ の奉仕価格で打ち出した。
寒冷で積雪の多い地方だけに、「ウルトラライトダウン」が初日から大ヒット。この流れに乗り、ここではまだ機能性が知れわたっていない「ヒートテック」、その帽子や手袋などのグッズ、各種アウターなど地域に合わせた防寒アイテムで高い潜在を狙う。
ユニクロフランスの西野秀典COO(最高執行責任者)は「まだ経験したことのない規模の都市だけに、ここでの成功が欧州での次の展開につながる」と新たなチャレンジに意欲を表す。
仏アプシスが運営するミューズは、フランスではまだ数少ない商業、オフィス、住居を合わせた3万7000平方メートルの施設。クレアティブショッピングがうたい文句のモールはテナント115(フード21)のうち、同地方初が70%。文化とデジタルの「アートテック」をコンセプトに同市が開発している国鉄駅周辺に7年前オープンした、建築家坂茂氏によるポンピドゥーセンターメッスの隣に位置する。
初の分館の地にメッスを選択したポンピドゥーの意気込みに賛同したユニクロは、同館をパートナーに、仏国内では初のメセナ活動を始めた。ミューズ正面の大ウィンドーには、ポンピドゥーメッスで開催中の日本建築展を演出した建築家藤本壮介氏によるユニクロ3店舗のビジュアルをディスプレーし、文化面から相乗効果を引き出している。