アマゾン・ファッション・ウィーク東京17年秋冬が20日に開幕した。アマゾンジャパンがメインスポンサーになって2シーズン目の今季は、消費者の巻き込みを意図したイベントや、「シーナウ・バイナウ」を取り入れたショーなど、新しい試みがつまっている。それらが従来よりも華やかなイメージにつながっている。
(五十君花実)
ウジョー(西崎暢)は、テーラードジャケットやブルゾン、シャツといったベーシックアイテムを脱構築し、それらを融合して新しいアイテムに作り変えていく。「服のつくりを美しく、丁寧に、壊す」ことを目指したというコレクションだ。
前から見るとテーラードジャケットなのに、後ろ見頃は裾がスポーツジャージーのようなリブに切り替わり、ジップブルゾンはリブ襟が抜けるように立ち上がってバックもジップ開閉になっている。テーラードジャケットは袖を肩からはずしてシャツを見せ、コートは袖に縦にカットを入れてインナーのフリルやラインをのぞかせる。
ギミックをつめ込んでいても散らからずに端正にまとまるのは、しっかりとしたパターンテクニックに裏打ちされているから。服をちゃんと作ることができなければ、壊すことはできないという言葉は、こういうことなんだと思わされる。
ウジョー
ウジョー
ずっしりとした重厚感があるのに、同時に揺れ動くような軽さも感じる大人の女性のエレガンス。ファッション好きの玄人たちをうならせるアイテムがずらりと並んだ。その半面、前シーズンに比べると分かりやすいキャッチーさはやや薄まった印象もある。
ウジョー
3シーズンぶりにショーをしたアウラ(川島幸美)は、ブランドらしいマスキュリンとフェミニンのミックススタイルを見せた。肩を強調したテーラードコートやタキシードジャケットに、アシンメトリーに裾が揺れるレーススカートやブラトップを合わせる。グレンチェックのファブリックで、トレンドのブリティッシュムードもたっぷりつめ込んだ。
ベルベットをカットしてレースをはめ込んだ凝ったドレスも、千鳥格子をアブストラクトにしたような模様になっている。全身スタイリングで見るとドラマチックだが、1点1点を見ると日常でも着られそう。そこがリアルクローズとモードの間を突くブランドならでは。
アウラ
今回がショーデビューのファイブノットは、大手アパレルのデザイナーを経て、企画会社を立ち上げた鬼澤瑛菜、西野岳人によるブランド。ウェスタンやボヘミアンの要素を取り入れたエフォートレスルックを揃えた。
デニムやコーデュロイといったラフな素材に、繊細に揺れるチュールや光沢のあるプリント柄のベルベットをミックスする。
冬の定番、テーラードコートには、ボタン替わりのシルバーコンチョで変化をつける。レイヤードで作る重心の下がったシルエットや、ビンテージのようなムードにも今っぽさを感じる。既視感がないと言えばうそになるが、トレンドを自分たち流に咀嚼(そしゃく)するのがうまくて、今後も楽しみ。
ファイブノット
(写真=加茂ヒロユキ、大原広和)